第163話 VS織田信行1

末森城の謁見の間。


捕らえられて拘束された織田信行が高笑いを上げて、急に飛び上がり宙に浮かび両足で立つ。そして、拘束された縄を引きちぎり両腕をあげた。


「死ぬっす」

「化け物めええええええ!」

池田恒興と河尻秀隆が刀を振るう。


信行の両手が黒く太く長く変化して、刀を叩くと池田恒興と河尻秀隆の刀が折れた。


ちぃ、悪魔退治の準備はしてねぇ。


「ツネ!秀隆! 離れろおおおおお」

池田恒興と河尻秀隆は飛び下がる。


池田恒興と河尻秀隆の居た位置に悪魔の爪が通過した。


「佐助!草薙の剣を持って来い!」

「倶利伽羅剣もねええええ!」

俺が佐助に叫ぶと、帰蝶も続けて叫んだ。


「五右衛門! 小天狗を連れてきて!」

ゆずも叫んだ。


帰蝶は両手にナイフを持って構えている。俺は鯉口を切り柄に手を添える。


さて、時間を稼げるか………。


「ケケケ。信長ァ! 死ンデ貰ウゼ」

不気味な声で話す信行。


「信行ぃいいいいいいい!!!」

土田御前が信行に抱き付こうとしたが、信行の黒い手から生えた長く鋭い爪が土田御前を斬り裂いた。


「邪魔ダァアアアアアア!!」


剣豪と妻達のレベルが上がってる者が武器を構えて、近臣でもレベルが低い者達や柴田勝家達は怯えて後退る。


銃声が鳴り響き、信行の眉間に4発の銃弾が命中するが、血も流れず信行には通じない様だ。


「くっ、効いてないよ」

吉乃の残念な声がして、吉乃、ゆず、杉谷住善坊、滝川一益が鉄砲を構えていた。


「おう、なら殴り殺すまでよ」

杉谷住善坊は鉄砲を鈍器に替えて構え直し前に進む。


剣豪達もそれぞれの武器を構えて信行に近付く。


鉄砲で撃たれた信行は吉乃達を標的に変えた。吉乃達を目掛けて走り出す。


長く太い両腕を使いゴリラの様な走りになっている信行は、肩から大きなトゲが飛びだしこめかみから羊の角が生えていた。


「アニキの奥さん達は俺が守るっす」

池田恒興が走っていく信行の足を刀で斬る。


刀が蹴り飛ばされて転がる恒興。

「くそっ、ダメっす」


「おう、俺に任せろ」

太く長い鉄砲を手に信行の行く手を遮る杉谷善住坊。鉄砲を棍棒の様に振り回す。


「みんなぁ! 離れてろぉ!」

俺は全力で駆け出し信行に一閃。居合い斬りで水平に刀を振った。


信行は爪で受ける。俺の刀は折れて先の方が翔んでいく。返しの爪が俺を斬り裂くが、俺は飛び退いて躱した。


「ちっ、やっぱりダメかぁ」


信行の両手の爪が長く伸びて、連続で俺を襲う。俺は何とか躱すが躱しきれない。


横から刀の突きが伸びて、爪の軌道を変えて俺の顔スレスレを通過した。


「君主が真っ先に行ったらダメですよ」

富田勢源の突きが信行の爪に当たっていた。


「俺達が時間を稼ぐ、下がって!」

俺の横で愛洲小七郎が刀を構えていた。


俺の後ろ襟首を掴んで引っ張り躱させた新免無二が前に出る。

「急に走り出しやがって、あぶねぇ真似するなよ。俺に任せろ!がはは」


富田勢源と愛洲小七郎、新免無二の3人は剣豪の中でも抜きん出た腕の最高戦力だ。


「がはは、癬丸!出番だ。てめぇの力を見せて見ろ!」


信行の攻撃を富田勢源と愛洲小七郎が躱しながら攻撃している横で、無二は癬丸を鞘から抜いた。


異彩を放ち不気味な光を放ち空間が歪む。信行が癬丸を見て驚いた。


無二は気にせず癬丸を振る。


信行の右手が飛んだ。


「ジャシンノ、ツルギガ、ナゼココニ!」


「がはは、効いてるじゃねえか」


「無二、攻撃は任せた!」

富田勢源と愛洲小七郎は信行の攻撃はを受け流し軌道を変えて、爪の攻撃を当てさせない動きに変わった。

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