第110話 正徳寺の会見4

俺達が進むと兵達は道を空けて、その道を進み、お堂の前で俺と伊達稙宗、大内義隆の三人は止まった。


「尾張の大うつけ者、織田信長見参! 美濃の斎藤利政様のお招きで馳せ参じました」


お堂の扉が開いて中から斎藤利政とその側近達が現れた。堂々と胸を張って出て来た斎藤利政。その後ろの側近達は兵の数を見て怯えている。


「利政様ぁ、ど、どうしましょうか?」

「落ち着け」

利政は側近を宥めると俺を見た。


「美濃の斎藤利政だ。約束は明日だったはずだが………」


「ちょっと早く着いたので、義父オヤジと早く会いたくてね」


「ふん、随分大勢で来たな」


「人数の約束は無かったので、今動員出来る最大限の人数で来ました。大うつけ者なので常識を知らないのですよ」


「はっはっはっは、これはやられたな。まあ中に入れ、茶を点てよう」


斎藤利政に誘われて、俺と伊達稙宗と大内義隆が小さなお堂に入った。


斎藤利政が自ら茶を点てる。


俺は作法など知らんので、何となく茶を飲んでいると、斎藤利政は俺を見て、「ふっ」っと笑いやがった。


しかし伊達稙宗と大内義隆の流れる様に美しい作法を見て、利政は疑問に思ったのか、稙宗と義隆に名前を尋ねる。

「その方達の名を聞こう」


「伊達稙宗と申す」

「麿は大内義隆じゃ」


「な、何! 本物か?」


「本物ですよ。奥州と周防に行って助けて来ました。今は俺のブレインです」


「むむ、これは失礼致した。奥州を制覇した伊達稙宗殿と6ヵ国を統治した大内義隆殿でしたか」


「昔の事だ。今は信長様の家臣の1人よ」

「うむ、麿も同じじゃ」


流石の「美濃のまむし」と言われる斎藤利政も、伊達稙宗と大内義隆の佇まいから溢れる、そこはかとない迫力に気圧されている様だ。


うっしっし、それが狙いなんだよ。


この二人はちょっと気を抜くと俺も気圧される事がある。義隆なんて「我が儘公家かぶれ」の「どデカ野郎」なんだけどなぁ。


二人のお陰で終始斎藤利政を圧倒し、会見は終了し、俺は土産に大量の焼酎と反物を渡した。


斎藤利政は、俺が連れて来た兵と鉄砲の数、家臣達の強さ、拘束された800の兵と忍び達を見て絶句していた。


「父上、ビックリしたでしょ。モニタリングしてたわよぉ。ビックリ大成功だわ」

帰蝶が斎藤利政に近付いて話し掛けた。


「ビックリどころじゃないぞ。お濃、信長は何者だ」


「尾張の下四群を治める清洲織田家の、地方領主である織田信秀の嫡男ですよ」


「たかが尾張の地方領主の嫡男では、あの陣容を揃える事はあり得ないし、あの土産は揃えられん。何か秘密があるのだろう?」


「それは秘密ね、教えられないわ。今は父上は美濃国の領主で、アタイは尾張の信長の正室ですものぉ」


「しかも数日であの人数を連れてこれるとは………」


「日頃の訓練の成果よぉ」


「あの数の軍を連れて来るだけでどれ程の費用がかかるか、そしてあの土産物の数。財力もとんでもないな」


「えへへ、お金はあるのよぉ」


「何れにしても大した男だ。今回は実力を確かめるつもりが、予想の斜め上を行かれて、制圧されてしまった。一本とられたな」


「信長は天下を平定するアタイの旦那よ」


「はっはっは、お濃、良い旦那を見つけたな」


「アタイは父上が美濃を取る為に協力したわ。今度は父上がアタイに協力する番よ。信長を応援してよね」


「いや、逆に儂が助けられるんじゃないか? まあ、尾張を統治するまでは全面的に応援するぞ」


「やったー!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


稲葉山城に戻った斎藤利政が焼酎を飲んで、大層気に入り大量の注文があった。


酒で天下が取れるかも………、そんな事ないか。


因みに斎藤利政はヘビの獣人だった。ヘビは獣?っていう指摘は置いておいて。人間と変わり無いが首筋に若干鱗が見えた。


いざとなれば大蛇に変化出来るらしい。


………と言う事は、………。


隣にいた帰蝶をチラリと見る。


俺の独り言聞こえたのか、帰蝶が俺に言った。

「そうよぉ。アタイは白蛇の獣人よぉ。大蛇に変化へんげ出来るわ」


先端が分かれてる舌をチロチロと出す帰蝶。あのまま舌の舌技が堪らないんだよなぁ。俺は帰蝶が蛇の獣人でも全く構わんよ。舌以外は人間と変わらんし。


帰蝶が抱き付いて来て、首筋から耳をスプリットタンで舐め始めた。


うぉ………。


「ちょっと、急に………」

帰蝶に手をかけると。


「止めて欲しいの?」


いや、止めて欲しくはないが、真っ昼間だし………、ねぇ。


「硬くなってますけど?」

帰蝶が耳元で囁き、耳の中も舐める。


そりゃ硬くもなるって……、はぅ……。


「蛇の獣人でも良いでしょ?」

帰蝶が俺の服を脱がし、乳首も舐められる。


あぁ………。部屋に二人だけだし、大丈夫だな。うん。


「勿論、ヘビの獣人でも全く問題ないよ」


身を任せちゃう俺でした。

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