第7話 滝川一益
那古野城に果心居士を連れて行く。
恒興はよろよろと後をついて来た。
果心居士には魔力の放出を止めて貰ってるので、那古野城に連れて行っても、まあ問題無いだろう。
ところで、俺と果心居士の会話を恒興が聞いていたが、こちらも問題無いと思っている。恒興には、天下布武の話は事前にしていて、その為に人材を集めると言っているからだ。
と言っても、恒興には天下布武は理解出来ないらしく、俺が何か『でっかい事』をやろうとしている程度の認識だ。
「アニキ、人材と言えば母ちゃんがアニキに紹介したい人がいるそうですぜ」
恒興が突然俺に話し掛けて来た。
乳兄弟で先に生まれた俺は兄貴と言えば兄貴だけど、なんか違和感呼び方なんだよねぇ、まるで任侠の舎弟から呼ばれているみたいだ。
「お、おう、仕官か。人材募集中だからな、会うぞ。なんて名だ」
「亡くなった父ちゃんの親戚で滝川一益って言う奴っす。年は19って聞いてるっす」
「お! 滝川一益か! 会う会う。直ぐ連れてこい」
「本当ですか? 直ぐ来る様に言うっす」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
数日後、俺は滝川一益と那古野城で謁見した。謁見と言うか、応接室だけどね。
「あんたが滝川一益かい」
「はっ、拙者が甲賀二十一家である滝氏の滝川一益でござる」
「採用決定だ。甲賀二十一家と言えば忍者だろ、宜しく頼むよ」
「え? は? はい。有り難き幸せでござる」
俺が即断即決した事に驚く一益。
「早速だが、幾つか頼みたい事がある」
「御意」
「先ず甲賀二十一家から人材を集めてくれ。いずれ伊勢国も攻略するからね。下地を作っておきたいし、優秀な人材を集めたい」
「御意」
「そして、甲賀忍術開祖の戸沢白雲斎に会いたい。伝はあるだろう?」
「ぎょ、い? それはちょっと難しいでござる。甲賀二十一家の者でも会えるかどうか……」
「儂が紹介しよう」
一益の背後に急に現れる果心居士。
「な、なに奴!」
驚き振り替えり果心居士を一目見て、震える一益。
「ほっほっほ、戸沢白雲斎は人じゃ無い。まあ、正体は会った時のお楽しみだのう。儂は奴に貸しがあるのでな。何とかなるじゃろう」
一益を無視して俺に話し掛ける果心居士。
「カシンコジ……」
絶句する一益。
「分かった。戸沢白雲斎は果心居士に任せよう。果心居士は他にも伝がありそうだな」
「ほっほっほ、長く生きているからのう。色々有るのだ」
「生きてる? まあ、そこは突っこまない事にして。伊賀の三大上忍である藤林長門守、百千丹波、服部半蔵そして百千三太夫、それから風魔の飛び加藤」
リッチって生きてるのか? と疑問に思ったけど、それは置いておいて。
「ほっほっほ、まあ伝はある」
「そして、剣豪の塚原卜伝、愛州小七郎、上泉信綱、新免無二、富田勢源」
「ほっほっほ、良い面子だのう。勧誘したいのだろう、だが上泉信綱、富田勢源は無理だぞ。上泉信綱は長野業正に、富田勢源は朝倉氏に仕えているからのう」
「本人は無理でも、門下の手練れの一人でも勧誘出来ないかなと思ってね」
「ふむ、会うだけ会って見るが良い」
「おう、有り難う。後は根来衆と雑賀衆だ」
「ほっほっほ、鉄砲か」
「そう、天下布武には鉄砲が欠かせない。伊勢侵略で敵対する前に誼を結んでおきたい」
「ほっほっほ、成る程のう」
「ね、根来衆と雑賀衆ならば拙者にも伝が有り申す」
一益が自分も俺の力になりたくて必死に割り込む。
「ならば根来衆と雑賀衆は一益に任せよう、そして一益。滝川家の
「利益、……でござりますか? あの傾奇者の?」
「そうそう、その傾奇者だ」
「御意……」
ふふふ、前田慶次を前田家に養子に行く前にGETだ。
どんどん青田刈りして人材を集めてやる。
でも、鉄砲を買うのも人材を採用するのも、お金が必要なんだよなぁ。
どうしよう。
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