パーティでのこと①
魔法学校入学試験の数日前…
試験の参加者を集めたパーティがあるということで
私はシェリルを連れて馬車に乗り、会場へ向かっていた。
会場は王城らしい。
なんで試験前にパーティするんだろうね……?
おかげで研究の時間が減っちゃったよ。
噂によると王子の誕生日パーティーも兼ねてるんだとか。
まぁ私にはどうでもいい話なんだけど。
ちなみにシェリルと一緒に向かってる理由は
どうせ同じ会場だからなのともう一つ。
シェリルの家の馬車が壊れちゃったから。
壊したのシェリルなんだけどまぁそれは置いといて……
シェリルの父親に『くれぐれも私の可愛いシェリルのことを頼んだぞ』と泣きながら念を押された。
そんなこと言われた一緒に連れていくしかないじゃん。
まぁ会場で合流する予定だったからいいんだけど
とりあえずこの世界で生きていくことを決めた以上、めんどくさい揉め事は避けたい。
「アリス!パーティって何するところですの?」
「お料理を食べたり…おしゃべりをしたりするところ…ですかね。私も行ったことないので分かりませんが」
私もよく知らないけど多分そんなところだと思う。
あいまいな知識でごめんね。
前の世界ではパーティとかそんなのとは無縁の人生を送ってたからなぁ。
こっちでは今まで引きこもってたし。
こうしてドレスを着るのも初めてだったりする。
…似合ってるかな?
「模擬戦は出来ますの!?」
「出来ません。」
出来てたまるもんですか。
なんでこの子こんなかわいいのに年中戦闘のことしか考えてないんだろ。
いったいあの親はどれだけ自由にさせてたんだろう。
いかにも親バカっぽいようなお父さんだったけど。
流石に限度ってものがあると思うんです。
「やっぱり魔法学校入学試験までお預けね…。アリス!」
シェリルはビシッと音が出そうな勢いで指をさす。
私、一言もやるだなんて言ってないんだけどね?
なんかよく分かんないけど拒否権ないっぽいんだけど?
まぁ…シェリルの場合は魔法を纏って突っ込んでくるだけだから
避けやすいし今日までにやった模擬戦は負けなしなんだけどね
そんなやり取りをしていると馬車がガタン!と音を立てて止まる。
目的地に着いたにしては早すぎる気がするが…。
「すみません。アリス様。石でふさがっててこれ以上は進めないみたいです」
そう言って馬を引いていた青い髪のメイドさんが困った顔でこっちを見る。
うーむ。どうするべきか…。
せめてハンマーが使えればなぁ。
そうだ。
こういう時こそ私の能力の出番だ。
集中して出来るだけ大きくて強そうなハンマーをイメージする。
《スキル:ハンマーを取得しました》
成功した!
やっぱりこの使い方であっているみたい。
というかハンマーて…ちょっとそのまんますぎる気がするんだけど…。
まぁ分かりやすくていっか。
「そこらへんは気にしても仕方なさそうですし」
「どうしたんですかアリス様?」
「いえ。手早く岩を壊してしまいましょう」
ぼそっと呟いだ私の言葉にシェリルが反応したので適当に返す。
「『ハンマー』発動」
《スキル:ハンマーを発動します。》
外に出てハンマーを発動するとずしんとものすごく重いハンマーが召喚された。
重っ!?
こんなの女の子じゃ持てないんだけど…?
《威力はそのままに軽量化しますか?》
威力そのままで軽量化ってことは強いままで軽くなるってことだよね…。
しておいて損はないかな。
「とりあえずしておきましょうか」
《スキル:軽量化を取得しました。そのまま発動します。》
軽量化のおかげで私でも軽々持てる重さまで計量された。
軽量化を取得できたなら岩を軽量化してどかせばいいだけなのでは?
とか思ったりもしたけどよくよく考えたら別のところがふさがるから駄目だった。
「せーの!」
岩の上からに思いっきりハンマーを振り下ろしてぶち壊す。
これで岩は粉々に砕け散った。
少しやりすぎた気がしないでもないがまぁ良しとしよう。
とりあえずはなんとかこれで先に進むことが出来る。
「ありがとうございます。アリス様。大急ぎで馬車を走らせますね」
そう言って青髪のメイドさんは前の席へ戻っていった。
ちなみにシェリルは見てない間に馬車酔いでダウンしてた。
シェリルさん?さっきまで喋ってたよね?
なんでよ。
そしてなんやかんやで会場へと到着しました。
会場へ着くと人がゾロゾロと入っていく姿が見えた。
恐らくあれが全員魔法学校入学試験の参加者ということだろう。
私、帰っていいかなぁ…。
上級風魔法スキルまでしか使えないのにあんな大勢と競うなんて絶対に無謀だと思う。
スキルも物理攻撃系しかないしなぁ…
この国で一番の魔法学校らしいからきっと複数属性の魔法が使えるようなすごい人がたくさんいるんだろうし…
私のチート能力があったとしてもどうにもならないと思うんだけど…
せめてあの王城くらい消し飛ばせたらこんなめんどくさいパーティーも来なくていいし
楽なんだろうけどな…
《スキル:消滅を取得しました。目の前の王城に向けて使用しますか?》
しないよ!?
というかなんでそんなやばい魔法取得出来ちゃったの!?
私が王城消し飛ばしたいとか考えたからか…。
まぁ魔法とかを打ち消せるようになったと考えればラッキー…ってことでいいのかな?
「あたっ!」
なんて考えてたら人にぶつかってしまった。
危ない危ない。
ちゃんと前を向いて歩かないと危ないよね…。
「すみませ…」
「おい。なにぶつかってんだガキ」
その声の主に対して謝ろうと振り向くとそこには同い年くらいの少年がいた。
そして思いっきり喧嘩腰だった。
ぶつかったのは悪かったけどそこまでいうことなくない?
あと私がガキになるならあなたもガキに相当すると思うんですが?
同い年じゃないんですか?
なんてことは心の中にしまって置くことにした。
あまり争わないのが吉だろう。
今後のためにも。
「ぶつかって申し訳ございませんわ。
王城があまりにもきれいだったから見惚れていたんですの。ではごきげんよう。」
そう言って私は去ろうとするが向こうがそうはさせてくれなかった。
「なんだと…!?俺そんな態度を取っていいのか!?俺のパパは伯爵なんだぞ!?」
どうやら父親の権力を自分の力だと思っているタイプの貴族らしい。
というか私ちゃんと誤ったよね?
丁寧なお嬢様口調だったよね?
なんでこいつ切れてるの?
耳おかしいんじゃないの?
ラノベとかアニメでよく見る人の話をまともに聞かないやつかな?
そういうのって大体は主人公の噛ませ犬になるんだけど。
私はめんどくさいから絶対に関わるまいと思ってたんだけど…
無理でした。はい。
こういう時はとりあえず適当に対応しておけばいいか。
この話が耳に入ったら父親に怒られるかもだけど。
「あら?私のお父様は公爵ですが?私に偉い口を聞いてもいいんですか?
流石に頭の緩い坊ちゃんでも伯爵と公爵の差ぐらいはわかりますよね?
それに今さっき権力を振りかざした私が言うのもなんですが
ここは魔法学校入学試験参加者のパーティの場。
そんな身分は関係ないと思いますけれど?」
《スキル:挑発を取得しました。》
いや挑発したつもりはないんですけど!?
刺激し過ぎたかな…?
「ふ、ふん。今日はこのくらいにしといてやる。」
そう言って少年は走って去っていった。
どうやら自分が口論で負けたと理解して敗走したらしい。
「やれやれです。」
そう言って呆れていたところだった。
「アリス!!!!!!!」
再びの腹部への衝撃!!!!!!!!
アリスに200のダメージっ!!
この世界に来て2回目の激突が来た。
《スキル:激突遮断を取得しました。。》
だからスキルどころじゃ…な…い…ガクッ
「あら?どうしましたの?アリス?アリスゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
その後私はしばらく目を覚まさなかったという…。
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