護衛依頼
「その……大丈夫?」
「え?ああ、予想してなかったわけじゃないからな。よし、切り替え切り替えっと」
アプリコットさんの話を反芻しながらこの世界にきてしまった理由を考えていると、プリムローズに心配そうな顔をされてしまった。
帰ることを諦めたわけじゃないが、だからってすぐにどうすることもできない。
俺は思考を切り替え、今をどうするかを考えることにした。
「そんな簡単に切り替えられるもんなの?」
「どうだろうな。さすがにこんなことは初めてだから何とも言えないが、父さんや師匠には何が起きても冷静でいるようにしろって言われてるし、まだ現実だっていう実感がないだけかもしれない。だけど何をするにしても、こんなとこじゃ何もできないから、まずは当面のことを考えようと思ったんだよ」
「なるほどね」
「その当面について、私から提案があります。私達が公爵家の者だということは、ライブラリーで確認されたでしょう?」
「ええ。と言っても俺の世界には貴族なんていないから、どう接していいかわからないんですが」
いないわけじゃないだろうけど、少なくとも日本には貴族はいない。
皇族はいるけど、そっちは説明すると長くなるから、省略でいいだろう。
「普通で構いませんよ。そもそもハイドランシア公爵家は、当主である夫が無実の罪を着せられ処刑されてしまったことで、お取り潰しになっていますから」
ああ、だから元公爵家になってるのか。
というか無実の罪って、この国、バリエンテって言ったか、それなりにヤバい国なんじゃないのか?
「それについては後ほどお話ししますが、主人はこうなることを見越し、私とプリムを隣国であるアミスター王国に逃がす手筈を整えていました。ですがバリエンテ獣王は私やプリムの命をも狙い、刺客を送ってきています」
「刺客って、さっきの盗賊みたいな?」
「あれは刺客と戦ってる時に偶然現れたのよ。だけどそのせいで従者や御者が殺されちゃって、私は母様を守りながらアミスターとの国境の町、ポルトンに向かうつもりだったの。そしたらあんたが現れた、ってとこね」
なるほど、予期せぬ襲来ってことで、隙をつかれたわけか。
ということはアプリコットさんの言いたいことも、だいたい予想つくな。
「つまりアミスターって国に抜けるまで、俺に護衛を頼みたいってことですか?」
「そういうことになります。正確にはアミスターに抜けるまでではなく、アミスター北部にあるフィールという町に着くまでです」
やっぱり亡命か。
このままバリエンテにいたら常に命を狙われることになるだろうし、今後のこともあるからそうするのが一番だってのはわかる話だな。
この世界には2つの大きな大陸があり、俺が飛ばされた大陸はフィリアス大陸というそうだ。
俺が今いる国はバリエンテ
プリム達が目指すアミスター王国は、バリエンテの隣国で、フィリアス大陸の最大国家だそうだ。
他にも帝王が支配するソレムネ帝国、竜王が治めるバレンティア竜国、皇王のレティセンシア皇国、
この九ヶ国がフィリアス大陸の国家だそうだ。
対して東にあるグラーディア大陸はフィリアス大陸より一回り小さいと言われているが、アバリシア
アバリシアとは国交も貿易もほとんどないから、情勢とかが伝わりにくいことが問題になっているらしい。
「それは構いませんけど、その町には何かあるんですか?」
「ええ。その町は
興味あるな。
王家の影響力が強いとはいっても、王家も領主もいないし、そのくせいざという時は王家とも繋ぎをつけやすいってことなら、確かに身を隠すにはうってつけだろう。
だがそれはそれとして、気になることがあるな。
「それは理解しましたけど、あなた方をバリエンテに売り飛ばすってことはないんですか?戦争回避ってことなら、言っちゃなんだけどそっちの方が手っ取り早いし、確実性は高い気がするんですけど?」
そう、たとえ無実の罪だろうと、ハイドランシア公爵はバリエンテ獣王によって処刑されている。
つまり、公式に罪人とされてしまっている。
その奥さんと娘となれば、普通に考えてもバリエンテが身柄を拘束したいはずだ。
その2人を匿うということは、アミスターっていう国も火種を抱えることになる。
その火種が爆発すれば戦争になるわけだし、罪人の引き渡し要求ってことで正式に話が通れば、断るのも難しいだろう。
「その通りですが、おそらくアミスター王家は私達を引き渡すことはないでしょう」
「それはなぜ?」
「アミスターの第二王女殿下は、プリムの幼馴染です。私だけならばともかく、あの方がプリムを売ることはないと言えます」
幼馴染か。
そこまで言うってことは仲が良かったってことなんだろうけど、俺からすればそれは判断材料としては微妙だな。
信じてた人に裏切られるっていうパターンは、ある意味お約束だし。
「それと、これはあなたに頼ることになるのですが、フィールに着いたらハンター登録をしていただきたいのです」
「さっきもちらっと出ましたけど、ハンターって何なんですか?」
「魔物を狩ることを生業とする人のことよ。あんたのいた世界がどうかは知らないけど、ヘリオスオーブには魔物がいて、被害も大きいの。だけど魔物から取れる素材は使い勝手の良い物も多いから、ハンターが魔物を狩って、ギルドが素材の取引をしているの。それに畑を荒らす魔物も減るから、食糧生産の面から見ても大きな意味があるの。食べると美味しい魔物もいるしね」
ヘリオスオーブにはギルドという、戦闘職や生産職なんかの組合が存在している。
ハンターズギルドもその一つで、魔物の討伐依頼や素材収集依頼などを出す仲介所のようなもので、ゲームとか小説とかでお馴染みの冒険者みたいなもんだ。
当然、貴族や商隊の護衛なんかも請け負うし、盗賊狩りも行っている。
もちろん犯罪行為を働いた場合、最悪の場合登録抹消の上、騎士団とかに引き渡されるし、盗賊になった場合は賞金首となり、世界中のハンターから狙われることになるが、これもお約束だな。
またハンターの身の安全について、ギルドは一切関与しないし、命の保証もしない。
ハンター同士の諍いにも介入しないが、こちらについては近年の中堅ハンターの素行の悪さが問題になっており、ギルドとしても口を出すことが多くなっているそうだ。
魔物素材の買い取りは、供給量が多ければ値崩れする場合があり、逆に需要が多ければ値上がりする可能性もあるとのこと。
そして受付では魔物の討伐依頼を受けることができる。
依頼書は依頼掲示板に貼られているためそれを受付に持っていけばいいのだが、ランクによっては受けることができないため、自分のレベルとランクを過信しないように注意する必要がある。
他には鍛冶、工芸の専門家クラフターズギルド、商人の集まりトレーダーズギルド、メイドさんや執事さんの集い場バトラーズギルド、治癒院でもあるヒーラーズギルド、ヘリオスオーブ最大宗教のプリスターズギルド、アミスター王国騎士団のオーダーズギルドがある。
オーダーズギルドはアミスター王国騎士団のことなので、当然だがアミスター王国にしか存在してないし、各地の治安維持を担っていながらも国王直属組織でもあるため、貴族とかでも介入はできないそうだ。
ギルドランクは全てのギルド共通となっていて、下からティン(T)、アイアン(I)、カッパー(C)、ブロンズ(B)、シルバー(S)、ゴールド(G)、プラチナ(P)、ミスリル(M)、アダマン(A)、オリハルコン(O)だ。
鉱物の名称が用いられている理由は最初に設立されたのがクラフターズギルドで、そのギルドのランクをそのまま使っているからだそうだ。
ちなみにハンターは、最も多いのがBランクで、その上のSランクが一流ハンターとされている。
さらに上のランクになると全ランク合わせても百人もいないらしく、Gランクは数十人、Pランクは数人、Mランクは1人だけで、A、Oランクは現在誰もいないらしい。
「登録するのは俺としても助かりますから問題ないですけど、それが何の役に立つんですか?」
戦闘技術を持ってる俺としてはありがたい申し出だ。
贅沢せず普通に生活する分には問題ないだろう。
だが、なんでそれが2人の助けになるのか、それがよくわからん。
「ハンターのランクは、ハンターのレベルによって決まります。もちろん一足飛びにそのランクになるわけではありませんが、それでも早い段階でレベルに対応したランクになることが多いです。あなたのレベルはGランクに該当し、世界でも数十人しかいないと言われています。このランクのハンターの多くは国からも厚遇されていますし、王家や貴族とも親交がある人が多く、発言力も高いのです。ましてやあなたはハイヒューマンに進化していますから、どの国でも厚くもてなしてくれることは間違いありません」
そうなのか。
つまり俺がハンターになれば、アミスターは2人がどんな存在だろうと、俺と親しいってことから余計なことはしてこない可能性が高くなる。
もちろん何もないにこしたことはないが、万が一の保険にはなる。
その上で、その第二王女様が本当にプリムを売ることがなければ、それは国の意思として受け取られる。
同時に俺が
そこまで考えてるかはわからないし、実際に
「そういうことなら了解です。お2人を護衛しながらフィールって町まで行って、そこでハンター登録をして、あとは経験を積みながら護衛継続ってことですね」
「あたし達って言うより、母様の護衛ね。詳しくは道中で説明するけど、ヘリオスオーブじゃレベル30代って人が一番多くて、逆にレベル50以上は数十人、多く見ても100人ちょっとだと思うわ」
「なるほど、つまり俺とプリムローズ様がいれば、余程のことがなければ力づくで切り抜けられるってことか」
「そういうことよ。ハンター登録はあたしもするしね」
おいおい、お嬢様がいいのかよ。
フォクシーっていう種族のハンターはそれなりにいるだろうけど、翼が生えてるとなるとかなり少ないんじゃないのか?
しかも女の子で白狐となったら、すぐに個人が特定される可能性も高いぞ。
「そうなんだけどね。だけどここであんたと会ったことは、あたし達にとっても予定外だったのはわかるでしょう?」
「そりゃな。って、なるほど。プリムローズ様もレベル48だから、ハンターになればバリエンテに身柄を引き渡される可能性が低くなる。しかもアミスターで登録すればアミスター所属のハンターってことになるから、明確な犯罪者でもなければハンターズギルドも黙ってないってことか」
だが問題もある。
バリエンテのお姫様が隣国でハンターになるわけだから、バリエンテに帰れなくなる可能性が高くなる。
それぐらいのことはわかってるだろうけど、アミスターで何かあったら相手がバリエンテだろうと立ち向かわなければならないし、まったく別の依頼を受けている間に事態が進展することだってあり得る。
ハンターズギルドは世界中に支部があり、高ランクハンターともなるとギルドからの直接依頼も受けることもある。
もちろん個人の事情は汲んでくれるが、断ってばかりだと信用されなくなり、最悪の場合除名ってことだってあるだろう。
レベルやランクが高くても、信用が第一なのはハンターでも変わらないだろうからな。
「そういうこと。あと、あたしのことはプリムでいいわよ。様もいらない。年も同じだしね」
「そりゃありがたい。っと、先に言っておくんだが、俺は馬とかには乗れないし、馬車も動かせないからな」
「そうなの?」
「ああ。そもそも俺の世界じゃ、馬に乗れる人って相当少ないな。言っとくけど貴族がいないからじゃないぞ。馬より便利な乗り物があるからだ。そっちなら、俺も運転できるんだけどな」
そうなんだよ、
いわゆる自動車やバイクなんだが、なんと16歳で免許が取得できる。
当然俺も取ってるし、何度か家の自動四輪を運転したことがある。
自分用に買う予定もあったんだが、その機会は無くなっちまったなぁ。
「そうなの?それはそれで興味あるから、機会があったら聞かせてもらうわ」
「何にしても馬も殺されてしまってるから、ポルトンまでは歩くしかないわね。ああ、でも獣車は回収しておきたいわね」
「そうね。あたしのストレージになら入るし、馬はポルトンで調達できるだろうし」
またしてもわからん単語が出てきたが、ストレージって何なんだ?
「ああ、ストレージっていうのはね、ストレージングっていう収納魔法のことよ。実際に使えるのはハイクラスに進化してからなんだけど、あたしみたいな翼族は魔力が高いから、だいたいレベル40を超えたら使えるようになるの。ああ、大和はハイヒューマンなんだし、普通に使えると思うわよ」
すかさずプリムが説明してくれた。
なるほど、所謂アイテム・ボックスってやつか。
聞けば生物は収納できないが死体は収納できるし、内部の時間も止まっていて、収納量は魔力に依存しているそうだ。
なんでもハイクラスになったばかりでも、小さな家ぐらいの収納量はあるらしい。
そんな魔法があるなんて、便利な世界だな。
ハイヒューマンになってしまってる俺も使えるって話だし、便利極まりない魔法だから道中で教えてもらおう。
「なるほどな。じゃあ回収してから、ポルトンってとこまで歩くことになるか。ちなみにどれぐらいかかるんだ?」
「そうね、徒歩だと夜になるかしら。獣車なら夕方ぐらいには着けるんだけど」
ってことは、野宿しなきゃならんのか。
俺は構わないんだが、また追手が来る可能性も低くはないし、早くアミスターに抜けた方がいいだろうから、ここで徒歩ってのはプリムやアプリコットさんにとっても想定外の事態だろう。
あ、あの手が使えるかもしれないな。
「プリム、何か触媒になるようなもん持ってないか?」
「触媒?魔石でよければあるけど?」
魔石は魔物を倒すと手に入る、魔力の塊が物質化したものだそうだ。
魔力の伝達率も高いし、貯蓄しておくこともできるから、魔導具にも使われているらしい。
基本的に強い魔物ほど高品質の魔石が手に入るが、弱い魔物の魔石でもそれなりに需要はあるため、ハンターの重要な収入源にもなっているんだと。
だけどそういうことなら都合がいい。
「お、なら1つもらえないか?できるかわからないが、試してみたいことがあるんだ。成功しても失敗しても、その魔石ってのは使えなくなると思うが」
「何をするのかわからないけど、それなら連中の魔石を使いましょう。それぐらいなら持ってるだろうから」
盗賊の武器や防具、所持品、ライブラリーを確認するために死体は全て回収し、プリムのストレージングに突っ込んである。
人を殺して物を奪えば強盗になるが、相手が盗賊の場合は罪状はつかないそうだ。
そもそも盗賊が犯罪者集団なわけだから、盗賊の所持品は倒した者の総取りってことになってるらしい。
まんま、異世界のテンプレだな。
「これならいいかしらね」
などと考えていると、プリムの掌の魔法陣から、薄い緑色をした石が出てきた。
実に今更な話なんだが、プリムは青い瞳で綺麗な銀色の髪をポニーテールで束ねている。
ドレスも所々破れてるとはいえ、いかにもお姫様って感じのデザインで、かつ動きやすそうな感じだな。
白い翼があることから、女神とか天使とかと見間違うほどだ。
胸もデカいし。
あ、耳と尻尾は真っ白ね。
アプリコットさんは金髪碧眼セミロングで、耳と尻尾はきつね色。
ドレスはプリムよりゆったりしてる感じで、激しく動くことは全く考えられてないオーソドックスなデザインだ。
均整の取れたスタイルをしていて、36歳のはずなのに20代でも十分通用するほど綺麗だ。
実際、最初はプリムの姉だと思ったんだよな。
フォクシーの毛色は白か黄色で、肌の色は黄色人種がベースになってるようだ。
あ、小説とかゲームとかの獣人は人間の耳とは別に獣耳がついてるってパターンが多いけど、ヘリオスオーブだとそんなことはなくて、普通に左右一対だ。
獣族のはヒューマンとかより少し上についてて、耳も大きいぞ。
おっと、こんな邪なこと考えてる場合じゃないし、いくらなんでも失礼だな。
「これが魔石か。緑ってことは風か?」
「正解。赤が火、青が水、黄色が土、紫が雷、白が氷、銀が光、黒が闇、金が全よ。少し大きいけど、これなら問題はないと思うわ」
思ったより属性の数が多いな。
刻印術じゃ雷は火、氷は水属性になってるが、ヘリオスオーブだと別の属性扱いなのか。
あと全って、もしかして全属性のことか?
まあ、後で聞けばいいか。
さっきの戦いでも思ったことだが、どうやら魔力とは刻印術を使うために消費する印子と、基本的に同じもののようだ。
印子は霊力やオーラ、プラーナとも呼ばれていたそうだから、そう考えると納得はできる。
そして魔法は魔力を消費することで行使できるわけだから、刻印術と似ていることもある意味では当然かもしれない。
それはともかくとして、風の魔石ということなら都合がいい。
「サンキュー」
魔石を受け取ってしばらく歩くと、ハイドランシア公爵家の獣車が見えた。
念のためソナー・ウェーブで周囲に何かいないか確認してみたが、何もいない。
獣車も壊れてるようには見えないから、これなら大丈夫だろう。
俺はさっきプリムから貰った風の魔石に風性B級対象干渉系術式フライ・ウインドと風性B級広域干渉系術式ガスト・ブラインドを刻印化させ、アプリコットさんに断ってから御者席に設置した。
ちなみに馬車じゃなく獣車って呼ぶのは、ヘリオスオーブでは馬以外にも地竜や人になつきやすい魔物が引くこともあるからであって、そもそも馬車っていう単語はないそうだ。
あとこの獣車を見て驚いたんだが、獣車の中は見た目より全然広かった。
ミラーリングっていう空間拡張魔法で車内を拡張してるらしいんだが、この魔法が付与された魔導具ってのはけっこう高いらしい。
まさか獣車の中に部屋が3つもあるとは思わなかったから、高いってのも納得だけどさ。
ちなみにだがストレージングを付与させた魔導具もあって、ハンターや商人にとっては垂涎ものの逸品なんだそうだ。
「よし、これでいいかな」
俺は御者席に設置した魔石に印子を流し、フライ・ウインドを発動させて獣車を少しだけ浮かせ、進行方向に動かした。
思ったより印子は消費も抑えられてるし、ガスト・ブラインドで小石とかの小さな障害物は排除できるから、そこそこスピードも出せそうだ。
「か、風魔法を使って獣車を動かすなんて……」
「なるほどね。あんまり効率よくないし、魔力消費も半端じゃないらしいけど、あんたなら大丈夫か」
いや、魔石との相性が良かったらしく、そんなに印子の消耗はないぞ。
まあ貴族用だけあってワンボックスカー並にデカい獣車を長時間動かすのは流石にキツイが、ヘリオスオーブに来てから印子、いや、魔力って言うべきか、が活性化してるみたいだから、町に着くまでなら何とかなるだろう。
驚くアプリコットさんを獣車に乗せ、俺はプリムと一緒に御者席に座ると、魔石に魔力を流して獣車を動かした。
「よし、これならいける。あんまりスピードは出せないけど、これぐらいなら夕方ぐらいには着けるんじゃないかな」
「凄いわね。魔法付与ができることもそうだけど、獣車よりスピードが出てるから、当初の予定より早く着けるかもしれないわ」
「魔法付与ってわけじゃないんだけどな」
そもそも刻印化は、俺の世界じゃ普通に使われてる技術だからな。
刻印術が属人的な技術でもある以上、どうしても出来上がりに差はでてしまうが、最低限の性能は発揮できるようにプログラムされてるから、余程のことがなければ問題も起きないし。
ああ、殺傷力の高い刻印術の刻印化が問題になってたか。
「ますます興味深いわね。時間はあるし、聞かせてもらうわよ?」
「そりゃこっちのセリフだ。聞きたいことは山ほどあるからな」
お互いさまだ、というようにプリムは笑った。
これが俺と彼女、プリムローズ・ハイドランシアとの運命の出会いだった。
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