11.明日への優待券
11.明日への優待券 1
それは夏休みも後半に差し掛かったころ。登校日も終わり定番の記念日あれそれも済んだあとのある日の朝だった。
ぴろりん。
SNSの通知が来た。
【おはよう不二くん。ところで今日はなにか予定はあるかい】
見れば先輩からだ。
【おはようございます。今日は、いえ、特に無いですよ。どうかしましたか】
文芸部の先輩にして部長、性悪系文学少女である新田先輩の連絡先を聞きSNSに誘ってはや一ヶ月。
そこそこ慣れてきたものの向こうから連絡を入れて来るのは珍しいのだが、今回はそればかりではない。
【学校近くのフタバでコーヒーでもどうだい。お昼は私の奢りでいいぞ】
この申し出には少しばかり、いやかなり驚かされた。
夏場に出かけるくらいなら死ぬと言い出しかねない暑さ嫌いの先輩が、自ら連絡を入れてきたばかりかカフェとはいえ外出に誘ってくるなんて。
【どうしたんですか先輩。ご家族に家から叩き出されたんですか。それとも誰かに脅されてるとか】
【そんなことはない】
【どっちがですか?】
【どっちもだよ!】
【良かった、家から叩き出された先輩も脅されて外出を強いられた先輩も居なかったんだ!】
【後輩から侮辱を受けてる先輩ならいるかなここに】
【漢字で書かれると結構重いですね】
【バカにされてるってカタカナとひらがなで書いてもあんまり軽くならないぞ】
【あっはいすみません。わかりました、いいですよじゃあいつものフタバで】
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