第91話 怪電波 その2

 荒野を走り、夜は廃墟で野営をして交代で休みながら戻っていった3日目の昼の休憩の時に、飛ばしていたドローンが再び大きく揺れ出した。丁度リンドウが屋根の上で警戒をしていたのでランディ、ルリ、そしてエリンがモニターを見つめる。


「来たわよ」


 とエリン。


 エリンは今回の事態に備えてPCにプログラムを入れており、ドローンを操りながらプログラムを作動させる。今回感知した送信時間は前回よりも短く30秒ほどだった。


 突然ふらふらとしていたドローンが正常な動きに戻り、そうしてエリンの操作で装甲車に戻ってきたのを回収するとエリンがPCのキーボードを叩き出し、


「電波が出ている方角がわかったわよ」


「どこだ?」


 エリンがキーを叩くと事前にPCにインストールされていた地図の上にラインが現れた。覗き込む3人。ラインは東にある工業団地を起点にすると左斜め上に伸びている。


「工業団地から西北西の方向から来てるわね。残念ながら電波の発信地とそこまでの距離はわからない」


 伸びているラインの下、南側に上陸地点が地図上に現れている。


「上陸地点から北に約250Kmのところを通っている」


 じっとモニターを見ていたエリンが続けて言う。


『エリン、よくやってくれたわ。電波のきている方向がわかっただけでも大きな収穫よ』


 インターコムにツバキの声が飛び込んできた。ランディが装甲車を動かすとリンドウが屋根から降りてきてモニターに表示されているラインを見る。そこには指向性電波のラインと装甲車が走ったラインがひかれていた。


「方角がわかっただけでも大きな進展だ。あとは上の連中に任せるとして俺達はとっとと帰ろうぜ」


 翌日の昼過ぎに砂浜に着き、待機していた船に装甲車を乗せるとリンドウらハンターを乗せた船は砂浜から出発し行きと同じく20日かけて都市国家の3層の入江に戻ってきた。結局今回は1度も戦闘をすることなくミッションを終えたことになる。


 戦闘がないミッションは4人とも初めての経験でなんとなくミッションが終わったという実感がない。


 出発の時と同じくツバキが出迎える。


「お疲れ様。工業団地の探索映像と強力な電波の飛んでくる方角の特定。どちらもお見事よ」


「今回のMVPは間違いなくエリンだな」


 リンドウが言うとランディとルリも頷く。エリンは一連のデーターをツバキに渡し、


「これでミッション終了ってことでいいかな?」


 エリンが皆の落ち着かない気持ちを代弁して言う。


「もちろん。明日の午前11時に支部に来てちょうだい」


 ハンター支部の車で3層の支部オフィスで降りた4人とツバキ。ツバキはすぐにこのデータを本部に送るということでオフィスに上がっていった。


 4人は3層から4層に続く門を潜りながらも


「戦闘が1度もないミッションなんて初めてだよね」


「なんか終わった気がしないね」


 いまだに何かしっくりと来ていないというエリンとルリの言葉に、


「それで報酬が貰えるんだ。良しとしようぜ」


「ランディは本当に楽天家よね」


「リスクが低いミッションで報酬ががっぽりと貰える。これでまた美味い酒が飲める。俺にはそれで十分さ。じゃあこのまま酒場に行くよ、お疲れ」


 そう言って挨拶を交わしたランディは4層の飲み屋街がある方向に消えていった。


 ランディが通りの先に歩いていって視界から消えるとエリンがそばに寄ってきて


「このままリンドウの家でお風呂に入らせてね」


 エリンの言葉に頷くとルリとエリンがリンドウの左右に並んでリンドウを挟む様にして4層の通りをリンドウのマンションに向かって歩いていった。



 キングサイズのベッドの上でルリとエリンが全裸で四つん這いの格好で並んでいる。その背後から交互に2人に突っ込むリンドウ。


 突っ込まれる度に高い喘ぎ声を出して悶え狂う女達。リンドウは1人の女性に突っ込みながらもう片方の女性には指を突っ込んでいる。途中で抜くと今度は指を突っ込んでいた女性にリンドウを突っ込みと2つの穴を交互に責めていた。


「もうだめ、逝っちゃう」


 ルリが先に絶頂を迎えて大きく身体を反らせて硬直してそのまま逝ってしまうと、その中から抜いたリンドウは今度はエリンを責め立てていく。


「死んじゃう、死んじゃう」


 と叫び声をあげ同じ様にすぐに絶頂に導かれて逝ってしまったエリン。


 息が落ち着いて左右から抱きついてきている2人を腕枕して抱き寄せながら3人は目を閉じてまどろんでいった。


 次に目が覚めると日はどっぷりと暮れていた。3人はベッドから降りるとリビングに移動する。リンドウのTシャツを着た2人が冷蔵庫から食材を取り出すと3人分の夕食を作りダイニングテーブルの上に並べていった。相変わらず2人の作る料理は美味いといいテーブルの上の料理を食べながら指向性電波について話をする。2人はリンドウのTシャツを着ている。2人ともまだ自宅に帰る気はないらしい。


「あそこまで指向性を強くするには結構な設備が必要よ」


 久しぶりのまともな食事を口に運びながらエリンが言う。


「確かに。生半可な設備じゃないよな」


 エリンの言葉に同意するリンドウ。


「そして電波の発信源は高い場所にあるわね。でないと工業団地まで届かないもの」


 フルーツを食べているルリが言うとリンドウとエリンもその通りと言い、


「高い塔があるのか、それとも山の上にあるのか、いずれにしてもエリンが撮影した画像でどこまで分析できるかだよな。あとは守備隊にお任せだ」


「そうね。ハンターの仕事の領域じゃないわよね」


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