第82話 ミッションスタート
会議が解散するとツバキはすぐにハンター本部の本部長であるピートを呼び出してサポートメンバーが決まったことと、早めに装甲車を用意して欲しいと要求した。
D地区の支部長の意を受けたハンター本部はすぐに政府、情報分析本部、そして都市国家防衛隊に連絡。ミッションが正式にスタートした。
リンドウはツバキ経由で武器メーカーに話をしてもらい3層にあるメーカーの研究所に泊まり込みで行くことになった。
ロングレンジライフル、そして狙撃銃を整備しリュックに着替え等の用意をした翌日、指定された時間にマンションの下に降りると迷彩服を着ているマヤが迎えにきた。
「マヤが来ると思ったよ」
車に乗り込んで動き出すと助手席に座っているリンドウが話かける。
「リンドウの家を知ってるのは私だしね。それに迎えにきたら少しでも長い時間一緒にいられるでしょ?迷彩服なのは午前中研究所のフィールドでテストに立ち会っていたからなの」
「迷彩服も似合ってるぜ」
武器メーカーの研究所は3層の中に射撃場付きの広大な敷地を持っている。4層のD地区からは車で3時間程走らなければならない。3層内の市街を抜けて自動車専用道路に入ると車のスピードを上げる。
「やっぱりリンドウに指名が来たのね」
「そうらしい、マヤの読み通りだった」
「研究所の宿泊施設に部屋は取ってあるの」
「悪いな」
「私も泊まり込みで作業するから私の部屋もあるのよ、リンドウの隣の部屋」
なるほど、女には不自由しなさそうだと運転するマヤを見る。
そうして自動車専用道路を降りて15分ほど走ると草原の中に研究所の建物が見えてきた。陽は西に傾いていて綺麗な夕日を見ながら入り口に車を停めると中から職員が走り出てきてリンドウの荷物を持っては中に入っていく。リンドウはマヤに案内されるままに研究所の所長をはじめ、職員や技術部の部長らと挨拶をしてから早速試作品を作った技術部の部屋に入っていった。
部屋に入るとそこにはすでにリンドウが使っているロングレンジライフルと同じ型のライフルがありその横にそれよりも大きい試作品が置いてある。
「これなの」
マヤが言うと職員が手に持ってリンドウに渡す。それを持ちながら
「最大射程距離は?」
「3,800メートルです」
技術部員が答える。なるほどと言いながらじっくりと銃を見るリンドウ。今使っているロングレンジライフル銃の形を継承してくれと言った通りの外観で、見た感じでは今の銃を単純に2回りほど大きくした感じだ。
そうして試作品の銃をテーブルの上に置いてバイポッドで固定するとスコープを覗き込む。
「このスコープは装甲車のPCと画像を共有できるのか?」
「できます。電波を飛ばしますので」
一通り見て銃から離れると、
「第一印象は悪くない。銃身が長いが銃の後部を重くしてバランスを取っている。これなら発射の反動で銃身が大きくぶれることもなさそうだ。トリガー部分のグリップも俺好みの太めだしな」
これはマヤがしっかりと覚えていてくれたんだろう。
リンドウの言葉を聞いてホッとする技術者達。
「銃の形はこれでOKだ。あと重量だがこの銃を中心として500グラムずつ重いのと軽いのを頼む」
リンドウの言葉を聞いて直ちに作業に入る技術者達。
「部屋に案内するわ」
「マヤは作業はいいのか?」
廊下に出てその先にある宿泊施設に案内するマヤと並んで歩きながら聞くと、
「これでも一応責任者の1人なの。方針を決めて指示をするのが仕事。実際に作業するのは彼らよ」
研究所の宿泊施設というからあまり期待していなかったリンドウだが実際に施設に入るとびっくりする。2階建てながら下手なホテルより立派だったからだ。驚いた顔をしているリンドウに
「政府のお偉いさんや都市防衛本部のお偉いさんが視察にくるのよ。だからそう言う人達のために立派な施設を作ってるって訳」
1階はフロント、食堂、談話室、バーまである。階段を上がった2階が客室部分で廊下は階段を上がったところから左右に5部屋、合計で10部屋が並んでいる。
「ここ以外にもう1棟宿泊施設があるの、そっちは一般用でここほどじゃないのよ。リンドウについては政府から最大級のもてなしをしろと具体的に依頼が来てるの。VIPね」
「そのVIPの専属の秘書がマヤって訳か?」
「そう、会社からはくれぐれも粗相のない様にと言われてね、私が手を挙げたの」
「そりゃありがたいな。俺も知らない女よりは隅々まで知ってる女の方がありがたい」
その言葉に頬を赤らめるマヤ。
「ここよ」
廊下の一番奥の部屋のドアを開けるとそこはスイートルームだった。大きなリビングにキッチンがあり、奥の部屋にはキングサイズのベッドがある。風呂場も綺麗だし風呂も大きくて清潔だ」
部屋を見て回っているリンドウに
「銃が完成して貴方がその銃を使いこなせるまでこの部屋は貴方専用よ。食事も下で食べてもいいしここに持ってくることもできる」
そう言ってから
「会社の指示で、今この2階に宿泊しているのはリンドウ、それと秘書役の私だけなの。他の人は全て別の棟に移動してもらった。極秘ミッションで他の人と顔を合わさないという目的と静かに休んで貰いたいという事らしいわ」
「じゃあ毎晩マヤがこの部屋で泊まってもわからないんだな」
その言葉に潤んだ目をするマヤ
「いいの?」
「俺は隣にいい女がいた方がぐっすりと眠れるタチなんだよ」
「嬉しい、じゃあ毎晩一緒にいさせて。そして毎晩私を好きにして」
部屋を一通り見たリンドウとマヤは夕食を食べる為に下に降りていった。貸切状態のこの棟のレストランは3層にある一流レストラン並みで出てくる料理も美味い。
「今日はゆっくりと休んで明日から色々とお願いするわ。リンドウの注文には全て答える様にと指示が出ているので納得できるまでいくらでも指示してくれて結構よ」
「わかった」
食事を終えると2階に上がる2人、マヤは自分の部屋に寄ってからしばらくしてリンドウの部屋に入ってきた。髪はピンを外していてメガネも取っている。服装は迷彩服のままだがよく見ると歩くたびに胸が大きく揺れている。
「ずっとしたくて、車でここに来る間も濡れてたの。確かめてみて」
そう言って迷彩服を脱いでいくマヤ。想像通り中に下着はつけていなかった。マヤに合わせてリンドウも迷彩服を脱ぐ。そしてどちらともなく抱き合うとキングサイズのベッドに抱き合ったままダイブした。
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