第9話 東の洞窟へ
朝目が覚めて、ついついくっきーをもふもふもふもふしていたら……。
『サラ、くすぐったいくまよー』
「えへへ、気持ち良くてついついもふもふと……」
『ふふ、おはよくま~』
「おはよう」
くっきーにアイテムボックスからお洋服を出して貰い、お着替えをして出掛ける準備をする。準備が出来たら、食堂へ行って朝ごはんを食べる。2人で仲良く半分こしてもぐもぐ食べる。食べ終わった所で、冒険者の恰好をした人達が声を掛けてきた。
「おはようございます。くっきー様とサラ様でしょうか?」
「はい、そうです」
『おはようくま。ぼくがくっきーくまよ』
「私は近衛騎士団のジークです、本日よりご一緒させて頂きます。よろしくお願い致します」
「同じくレイナと申します。よろしくお願い致します」
冒険者風の恰好はしているけれど、騎士さんだった。まぁ、私が騎士さんと歩いていたらびっくりされるよね……。
『ぼくとサラには普通に話して欲しいくま。じゃないとサラもぼくも落ち着かないくまよ?』
ジークさんとレイナさんは顔を見合わせてから、了承してくれた。難しいだろうけど、普通に話してくれるといいなぁ。っていうか私聖女じゃないって追放されたのに、聖女になってるし……おかしいなぁ。
「今日はどちらに行くか決まったのですか?」
「はい、今日は東の洞窟へ行って、明日は西のダンジョンへ行こうかと思ってます」
「分かりました、よろしくお願いします」
『よろしくくまよ~』
食事も終わったので、宿を出て東門へ向かう。くっきーを抱っこしてぽてぽてと2人と一緒に歩いて行く。
東の洞窟は東門を出てから、2時間くらい歩いたと所にあるらしい。よし、頑張って歩くぞー! 東門で手続きをして貰ってから、外へ出てレイナさん、私、ジークさんの順で歩いて行く。
今日も動物さん達がドロップ品を持ってきてくれるけれど、ジークさんとレイナさんがいるからか少し離れてアイテムを置いて行ってくれる。
「あの動物達は一体……?」
「くっきーがお願いしてくれているみたいで、いつもドロップ品とか木の実とかを持ってきてくれるんですよ。拾えていない物は自分たちで拾いながら歩いてます」
『ぼくの半径500メートル以内に入ると魔物は浄化されちゃうくまよ。だから動物達にドロップ品を出来たら持ってきてってお願いしているのくま。だから馬車だとアイテムが拾えなくなっちゃうのくま』
「後は薬草とかも採取しながら歩いていたので、歩きだったんです」
「なるほど」
「そういう事だったのですね」
ジークさんとレイナさんは驚いていたけど、納得したみたいだった。
ちょっとレーナさんとお話が出来るようになってきたのでホッとする。ジークさんは後ろで警戒してくれているので無口なのだ。まだあんまりお話出来ていない。
そう思っていたら、ジークさんに話しかけられた。
「サラ様、出来たら抱っこしてもよろしいですか?」
「えっ!? いえいえいえ……歩けますよ?!」
「まだ小さいサラ様をずっと歩かせるのは気が引けるので、抱っこさせて頂けるとありがたいです」
「でも、それじゃぁジークさんが疲れちゃいますよ?」
「大丈夫ですよ。近衛騎士ですから、普段から鍛えてますからね」
「えとえと……じゃぁ、疲れたらお願いしても良いですか?」
「分かりました。いつでも言ってくださいね」
「ありがとうございます」
さすがに抱っこは恥ずかしいです……。頑張って歩こう! 気合を入れ直して頑張って歩き始めたら、ジークさんとレイナさんにゆっくりで良いって止められた。
『サラ、いつも通りで良いのくまよ~』
「えへ、なんだかいつもと違うからなかなかね」
うん、なんかカラ回ったみたい……? この小さい身体だとなかなか難しいので、もう少し育ってくれないかなぁ。
っていうかそもそも、聖女召喚されて身体が小さくなったり、記憶をなくしたりする意味が分からない! なんでこんな子供の姿になっちゃったんだろうなぁ。
『サラ、どうしたくま?』
「ん? なんでもないよ~」
『なんか怒ってるくま?』
「えぇぇ?! 違うよ!?」
くっきーに上目遣いでうりゅ~っと目をウルウルされたら言うしかなくなった。
「召喚されてどうして身体が縮んだり記憶が無くなったのかなってちょっとむーー! ってなってただけだよ。ごめんね」
『ふふっ、良かったくま。不思議くまよね~』
「サラ様? 召喚されたとは?」
そういえば、まだ国王様には召喚された事話してないから知らないだったね。
「私は元々違う世界の人間なんですよ。フェリク王国で聖女召喚で呼ばれたみたいなんですけど、聖女じゃないって追放されたんです」
『それはあの国が見る目なかっただけくまよ! サラはサラくま!』
「追放された? それは一体どういう事ですか?」
私はジークさんとレイナさんにフェリク王国であった事を伝えた。そして異世界からの召喚者である事も伝えたら、2人とも凄く怒ってくれた。それとなぜか記憶が無くなっていて身体も多分縮んだって事も……。
これから一緒にいるなら伝えておいた方が良いと思ったから、伝えてみたら2人ともすごい剣幕で怒ってくれた。それだけでもこの人達を信じられると思えた。それにくっきーがいるから悪い人が来てもきっと分かるんだと思う。
「サラ様、この国ではそんな事は絶対にさせません! 安心してくださいね」
「ふふっ、レイナさんありがとうございます」
「それにフェリク王国から何か言われても必ずお守り致します!」
「ジークさんもありがとうございます。とても心強いです!」
『フェリク王国では間に合わなかったけど、次そんな事があったら許さないのくま!』
「ふふっ、くっきーもありがとうね。いつも頼りにしてるよ」
『えへへくま~』
「くっきー様は召喚の場にいらっしゃらなかったのですか?」
『そうくまよ。召喚された所と離れていたから急いで飛んで行ったくまよ』
「そうなのですね」
レイナさんは辛そうな表情をしていたので、本当に私の事を心配してくれているんだとちょっと嬉しくなった。
「ふふっ、でも次の日にはくっきーと会えたから大丈夫です」
「良かったです」
レイナさんともふふっと顔を見合わせて2人とも笑顔になった。この2人となら一緒に旅が出来そうだ。良さそうな人達で良かった。
そんな事を離しながら歩いていたら、洞窟に着いた。相変わらず洞窟の前も凄いドロップ品の量だ。
「くっきー様、これは一体!?」
「ここにこれだけ魔物が居たって事くまよ」
「こんなに!?」
レイナさんもジークさんもびっくりしている。さすがにこれは引くよね、でもね……洞窟内の方が凄いんだよ?
くっきーが手を前に伸ばしてアイテムボックスに収納していく。
「ふふっ、くっきー様は本当に凄いですね」
『えへへくま~!』
アイテムを仕舞い終わったら洞窟の中に入っていく。ここでもくっきーが明るくしてくれる。
「中にもこんなに!?」
「今までの洞窟もこんな感じだったんです」
くっきーがアイテムを収納しながら先に進むと、行き止まりになった。ここにも埋まっているかな?
『ここが一番多いから多分ここに埋まっていると思うくま。見つけても触っちゃだめくまよ?』
「分かりました」
「はいっ!」
くっきーがアイテムを仕舞ってくれている間に、レイナさんとジークさんと一緒に魔石を探していく。なかなか見つからないけど、根気よく探していると……ジークさんが見つけたみたいだ。
「くっきー様、ありました! これですか?」
『あっ、それくま! 触っちゃダメくまよ』
くっきーが魔法で魔石を掘り起こしてアイテムボックスに収納した。
『ここも魔石に力が残ってなかったくまね』
「じゃぁ、魔石を埋めてから時間がたっているという事ですか?」
『多分そうだと思うくま』
「一体誰がこんなことを……」
『それはまだ分からないくまよ』
魔石が見つかったので、洞窟から出る事にする。
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