第4話 冒険者ギルドへ行こう!
「くっきー、おはよう」
『おはようくま。クリーンくまっ!』
「ふふ、ありがとう!」
くっきーと一緒に食堂で朝ごはんを食べてから、宿を出て冒険者ギルドへ向かう。
冒険者ギルドに着いて、中に入ると……なんだか怪我をした人が沢山いた。
(えっ?! ど、どうしてみんなあんなに怪我を?!)
「くっきー、どうして?」
『受付のお姉さんに聞いてみるくまよ!』
「そ、そうだね!」
受付のお姉さんに声を掛けて、冒険者達の怪我を聞いてみる。
「おはようございます。あの、お聞きしたいのですが……」
「あら、可愛い冒険者さんね。何が聞きたいのかな?」
「あの、冒険者さん達の多くが怪我をしてますが、何かあったのですか?」
「そうね、今この街の周りには魔物がとても増えていて、ポーションが全然足りなくなっているの」
「えっ!? そ、そうなんですか?」
「それで、薬草の採取もなかなか出来ない状態なのよ……」
そう言うと、お姉さんは悲しそうな顔になった。
「あのっ、薬草だったら、沢山ありますから使ってください!」
「えぇっ! 薬草持っているの?! 売って貰えるなら助かるわっ! 買い取りカウンターへ来て貰って良いかしら?」
お姉さんと一緒に買い取りカウンターへ向かって、くっきーに沢山薬草を出して貰った。お姉さんは驚いているけれど、とても嬉しそうにお礼を言ってくれた。
「あっ、私はリーナよ。よろしくね」
「私はサラです。こっちはくっきーです。よろしくお願いします」
「サラちゃんのおかげで助かったわ。でも、どこで採って来たの?」
「フェリク王国から採取をしながら来たので、薬草の他にも色々ありますよ」
「えっ!? サラちゃん……このクロサイトの街の周りも砦の辺りも魔物がいっぱいいなかった?」
魔物……見てないよ?
「魔物……?」
『サラ、それは見てないだけで全部倒しているからドロップがあるくまよ?』
「あーっ! そうだった!」
魔物を見てないからすっかり忘れていたけれど、くっきーの周りは浄化してくれるから見てないだけなんだよね。
「えっ、なに?!」
「いえ、くっきーが倒してくれていたので私見てないだけでした……なのでドロップ品も沢山ありますよ」
「もしかして、お肉とかもあったりする?」
『あるくまね』
「ありますよ」
「それも売って貰う事って出来るかしら?」
「もちろん、大丈夫ですよ」
くっきーにドロップ品を出して貰うと、多すぎたのかぽかんとしている。リーナさんにちょっと待ってー! と言われてギルマスさんの部屋に通されてしまった。
「ギルマスのダルクだ。よろしく頼む」
「私はサラで、こっちはクッキーです。よろしくお願いします」
「それで、大量のドロップ品を売って貰えるという事だが、本当に君たちが倒したのか?!」
「私じゃなくてこの子が倒してます」
「純粋な疑問なんだが……どうして君は魔物を見ていないんだ?」
『サラ、ちょっと待っててくまよ』
「ん? うん、どうしたの?」
「なんの魔法だ!?」
「えっ!?」
『今のは防音と結界魔法を使ったくまよ』
「なに?! くまがしゃべった!?」
「えっ?」
『ぼくが話をしないと難しい所だったから仕方なくくまよ。ぼくは3神獣の1人だからぼくの半径500メートルは魔物が浄化されるくま』
「えっ!! し、神獣様っ?!」
「くまさんが神獣様っ!?」
ギルマスもリーナさんも驚いている。そりゃそうだよね、こんなに可愛いくまちゃんが神獣とかびっくりだよね。
『だから、サラは魔物を見ていないし、ドロップ品は動物達にお願いして持ってきて貰ったくまよ』
「そんな事が……」
『この国が魔物が増えていると聞いたから、ぼく達は浄化の旅をしようと思っているくま。ぼく達が色々な所に行くと魔物が減るくまよ』
「あ、ありがとうございます!!」
「サラちゃん、凄い子だったのね!」
「私は何も出来ないですよ。ただ、くっきーのお友達なだけです」
「ふふ、でもみんなを助けたいと思って薬草を譲ってくれたのでしょう? サラちゃんが集めてくれていたから、とても助かったわ」
「えへへ、お役に立ててうれしいです!」
「冒険者ギルドは全面的にバックアップをすると誓おう!」
『ふふ、助かるくまよ。まずはこの街の近くから減らさないとくまね。どこら辺が怪しいくま?』
こんなに可愛いくまちゃんだけど、話をしている内容を聞くと神獣様っていうのが良く分かるね。可愛いくまの威厳が見える。なんかおかしいけど、そんな感じ??
「怪しいのは、東西にある洞窟だと思うのだが……ポーションも作れなかったから、冒険者達がそこまでたどり着けないんだ。今回神獣様のおかげでポーションを作れるようになるものの、まだ万全ではないだろう」
『ぼく達が行ってくるから冒険者達は少し休ませると良いくまよ。サラ、大丈夫くま?』
「うん、もちろんっ!! どっちも行って浄化して来ようね!」
『ふふっ、さすがサラくまね!』
「えっ、何が??」
『ぼくだけ行って来てって言わないサラが大好きくまよ』
「えぇぇ?! そんな事言う訳ないよ! それに私も一緒に行ったら薬草も集められるし、出来る事を頑張るって決めたもん!」
そう言うと、リーナさんになでなでされた。
(ふふっ、なでなでされるの嬉しいな)
「今日はどっちに行く?」
『どっちでも良いけど、西の洞窟から行ってみるくまよ』
「うん、分かった! あっ、そういえば……もしかして食料も困っているって事ですか?」
「あぁ、強い冒険者達で肉を取って来たりもしているんだが、追い付いていないな」
「なるほど、だから街に入ってから活気がないと感じたんですね」
『なるほどくま』
「くっきー、アイテムボックスにあるお肉とか全部出してあげて貰って良いかな?」
『ふふ、分かっているくまよ。サラの分だけ少し残して全部出すくまよ』
「神獣様、ありがとうございます!」
『ぼくの名前はくっきーくまよ。神獣様って呼ばれたらばればれで困るくまよ~』
「ふふっ、そうだね」
「くっきー様、商業ギルドと協力をして誰からというのは秘密にするように手続きをしておきます。ただ、商業ギルドのギルマスには神獣様のお話はしても大丈夫でしょうか?」
『任せるくまよ。ぼくはサラと一緒に居られるなら何でもいいくま』
そう言ってくれるくっきーをなでなでしちゃう。アレクシス王国に魔物が増えていると聞いていたけれど、そんなに増えているだなんて思わなかった。これはもう、くっきーと一緒に頑張るしかないね!
ギルマスとのお話が終わった後、倉庫に移動してクッキーのアイテムボックスに入っている薬草とお肉類と果物をほぼ全部出して貰った。
これで、少しは持つかな?
「よし、くっきー。西の洞窟へ行ってみよう!」
『そうくまね。サラ、屋台でご飯買っていくくま?』
「ん~、そうだね。その方が早く進めるかな」
屋台でパンがあったので、5個買ってくっきーのアイテムボックスに仕舞っておいてもらう。これで、すぐにご飯を食べて進めるかな。
まずは西門へ行って、手続きをして貰い街の外へ出よう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます