会敵24 捜索対象者
「それで、ミカドいたのか?」
俺達は広場に戻り、大勢が尋問の為に集められている村人を見て聞いた。例のお客さんとかいう奴についてだ。
「それが、空振りだったようだ。また、出直しだな」
少しおどけて表情を緩めるミカドに俺は、
「何した奴んだんだ?」
少し見上げる程度のミカドの顔を見て行きがかり上、聞いているのだが、興味も特別ないし。ミアに至っては広場の井戸の傍でクルクル中だ。
「悪い、それは言えないんだ。機密扱いでな」
「ふ~ん。そうなのか」
俺はどうでもよかった。そいつが、何者でも。別に興味もない。
「若い女性なんだよ」
ミカドが周囲を伺い俺の耳元で呟いた。
「若い女性なぁ」
俺のオウム返しに、
「ああ、20代中盤くらいの女だ。そいつを探している」
俺はピンときた。まずいぞ。あの逃がした女だ。
「ミア! 何してんだ?」
俺はとりあえずこの場を離れてミアとフェーズ合わせしなければならなかった。幸いクルクル中のミアを咎めるが如く、その場を離れ、クルクル中の髪をさわりながら耳元で、
「こいつら探しているのはお前が逃がしたあの女だぞ」
呟いた。
「うそ!」
声でけぇよ。
ミアが目を丸くして驚いている。まずいなって顔を露骨にしているが、そのことは言うな、秘密だと言い含め、ついでにクルクルを続けろと置いてきた。
くそ、少し具合が悪くなってきたぞ。なんだろう胃のあたりが……まじめなだからな、俺は……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます