SNS上で活動していると言われているプロゲーマー、シオン。まとめサイトなどでは色々と言及があるが、あえてスルーした。

その理由は、こうしたまとめサイトのやり方も二次創作を正当化して一次創作として物語に組み込もうという……いわゆる個人勢力のマッチポンプと判断したからである。

「どうすれば会えるのか……」

 彼女はシオンの記事をチェックするのだが、メールアドレスのような連絡手段は書かれていない。当然と言えば、当然のことかもしれないが。

その一方で、SNS上で大々的に活動をしているような記述もなかった。だからと言って、テレビでしか見かけないような芸能人レベルという訳でもない。

記事の中には確かに草加市内で目撃事例がある、と記述はされていた。結局、直接会うしか方法はなかったのである。

(相応の覚悟が必要なのね)

 結局、そこまで遠い場所ではないという事もあり、外出をすることを余儀なくされた。

今の時期だと『外出自粛』をあたかも公式が言及しているような風に聞こえるが、この世界では一部個人勢力が別世界のコンテンツを題材とした二次創作として、SNS上に拡散しているに過ぎない。

しかし、一般市民はこうした作られた偽りの宣伝ですら鵜呑みにしてしまう。まるで、SNS上で『秘密結社』が生み出した情報を真実と誤認してしまう『拡張都市・蒼風』の住民と同じである。

まさにゲーム上のフィクションであったはずのストーリーがリアルの都市に反映されているという……ある意味でも危険な状態と言えた。



 草加市に足を踏み入れた彼女だったが、周囲を見回しても特に彼女を指さすような市民はいない。

さすがに彼らもSNS炎上に巻き込まれたくない……という事なのだろうか。それとも、SNS上の『外出自粛』はフェイクニュースなのか?

彼女はシオンに関して一般市民がし言っているわけはないと判断し、再びスマホを片手にSNS上のサイトをチェックしてみた。

数分後、とあるアミューズメントエリアにいるという目撃情報を発見、そこへ向かう事にする。

どちらにしても、何が真実なのかは向かわないと分からないからだ。



 情報のあったアミューズメント施設は、近くを歩いてみてすぐに分かった。

建物が特徴的なのもあるが、それ以上に客足が目に見えて多い事もあったからである。『外出自粛』とは何だったのか?

施設の自動ドアの前に立ち、それが開いたときに……ある事実が判明する。それは、一連の『外出自粛』を叫ぶ勢力の正体に関してだ。

シオンを発見することはできなかったが、周囲の盛り上がりを見て彼女は『外出自粛』を叫ぶ勢力の正体を知ったのである。

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