第10話 <仲良くお風呂!>
頭が痛いよぉ……。
泥で衣服を汚したことについてお父さんにこってり怒られ、拳骨までもらったから頭がジンジンする。あそこまで怒らなくてもいいじゃないの……。
夕飯を食べる前にお風呂に行けって言われちゃったよ。仕方ないから行きますか。
一人で入るのも寂しいからイリヤも連れていく。下心なんて全然ないよ。ホントだよ?
部屋から着替えを持ってきて脱衣所へ。お父さんにわがまま言って作り替えてもらった我が家のお風呂は、脱衣所から浴室まで銭湯を意識しております。日本人の心には、いつどこにいても銭湯があるんだよなぁ。
さっと服を脱いで桶に入浴道具を入れていく。ふと後ろを振り返ると、イリヤがちょうど下着を脱いだところだった。大変素晴らしいものが解放されて弾力感たっぷりに揺れる。
「わぁお……セクスィー」
「リリ?」
「イリヤさんはええのぉ。立派なものがあってええのぉ」
自分でも親父臭いと思いながらイリヤに後ろから抱きつく。当然、抱きつくだけなんてもったいないからお胸をもみもみさせていただきやしょう!
「ひゃうん! リリ、なにを!?」
「そりゃあ、メイドさんが裸になったらボディータッチは常識でしょ」
「中年親父じゃないんですから!」
いやいや、考えてみてほしい。中年のおじさんが女の子にボディータッチするとそれは犯罪だけど、同い年の女の子がボディータッチするのは実に微笑ましい光景じゃないか! 私は絵面的にセーフなら問題ないと思う!
上の方の感触をしっかり楽しんだし、お次は下よね。
「こっちはどうかな~」
「ダメ。そこまで触られたら……」
「ちょっとだけ指が入るだけだってぇ……」
「みゃあ!」
リリス!? いつの間に!
リリスの魔法で私の体は空中に浮かんだ。そして勢いよくその場で回転させられる。超高速で回転させられて目が回る! そして、気持ち悪い! 吐きそうになる!
ぐるぐる回された私は急に解放された。ただ、遠心力が働いて結構な距離を飛ばされてしまう。私の体はかけ湯用の湯船へと叩き込まれた。盛大な水柱を作って沈んじゃう。
「ぷはっ! 気分悪い……」
「天罰です。反省してください」
「みゃあみゃあ」
「ハイ、ゴメンナサイ」
私が悪かったです。おふざけが過ぎました。でも、大変素晴らしかったですごちそうさまでした。
大人しくかけ湯をして体を洗うために椅子に座る。横にイリヤが並び、イリヤの膝の上にリリスが乗った。
タオルに石けんをつけて泡立てて体を擦る。同じようにイリヤも体を洗って……、
「あー!」
「どうしました!?」
「リリスずるい!」
リリスがイリヤの両胸を揺らして遊んでる! さっき私はそれで怒られたのにずるい!
「あぁ、なるほど。リリスはいいんです」
「なんで!?」
リリスがよくて私がダメなのずるい! 怒ったから今夜も寝かしてあげないんだから!
リリスに怨念の眼差しを向けていると、ふと脱衣所が騒がしくなる。何だろうかと思っていると、新たに大勢のメイドさんたちが入ってきた。
「あら、失礼しました」
「問題ないから! 一緒に入ろうよ!」
私たちに遠慮したのか出ていこうとしている。だからそれを止める! 楽園は守らなくては!
メイドさんたちも合流して皆でお風呂! 素晴らしい眺めに満足していると、一人が背中に優しく触れてくれる。
「リリ様、お背中流しますね」
そう言ったのは、メイド長のルフレンさん。
普通はメイド長といえばおばちゃんって感じの人がなるようなものだけど、そもそも我が家のメイドさんは平均年齢が低いから。最年長のルフレンさんも今年で確か三十歳だったはずだし。最近の悩みは結婚相手がいないことなんだって。
滑らかな手が背中をなぞる。あ、やばい。ナニカに目覚めちゃいそうだ……。
「気持ちいいですか?」
「極楽極楽……」
「それはよかったです」
至福の一時を過ごしていると、ふと体が引っ張られる。さらば天の感触。
横からイリヤが引っ張ったのだ。イリヤは私のお腹を優しく洗ってくれる。
「ルフレンさんありがとうございます。ですが、リリ……様は私がお世話するので」
「あらそう? ……嫉妬かしら?」
「全然断じて全く違います!」
顔を赤くして否定するイリヤ。可愛いな。照れなくても私はちゃんと気がついてますよ~。
イリヤに連れられて湯船に浸かる。温かいお湯が体にしみるわ~。
「遊び回った後のお風呂は至福……」
「顔、蕩けてますよ」
だって気持ちいいんだもの。そりゃあ緩むよ。
夢見心地だぁ。裸の女性たちに囲まれてお風呂とかもう死んでも悔いなし!
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