第77話:猛攻と防御
ギリギリ大魔王の警告が間に合った形になった。
人族を焼き殺そうと言うのだろうか。
それとも熱と衝撃波の両方で人族を殺せるからだろうか。
激烈は熱魔術が地球全体を包み込むように叩き込まれた。
「間に合ったのですね」
ミネルバが心から安堵してつぶやいた。
「ああ、腹立たしい事だが大魔王に感謝だな」
ルーパスも忸怩たる想いを込めながら答える。
「そうですわね、大魔王の警告がなければ最初の攻撃で結界が破壊されていたかもしれませんわね」
「ああ、そうだな、だがこれではグレアムに反撃の機会はないな」
「そうですわね、神々の攻撃を防ぐのに精一杯で、逆撃などとてもできそうにないですわね」
ミネルバの言う通りだった。
神々の攻撃は苛烈を極めており、とてもではないが結界に穴を開けてグレアムを攻撃に向かわせる余裕はなかった。
もし無理矢理反撃に向かわせても、一瞬で全滅するのは目に見えていた。
「神々の攻撃で発生する熱は他の世界に放出させているんだよな」
「はい、予定通り魔力不足や熱不足の世界に放出して、人族が居住可能な世界にできるか実験しています。
ですがまさか本当に実験することになるとは思ってもいませんでした」
「本当だね、最悪を想定して準備はしていたけれど、まさか本当にこれほどの攻撃を受けるとは思っていなかったよ」
「私もです。
アラステアの助言に従って準備だけはしていましたが、本当にこんな事になるとは思わなかったですわ」
「アラステア、この後はどうするのが一番だと思う」
「そうですね、このまま神々の攻撃に耐え続けましょう。
そうすれば多くの世界が人族の住める世界に変化します。
魔力がほとんどない世界が多いので、移住した人族は魔力を使えなくなりますが、その分魔族の攻撃を受ける心配もありません」
「アラステアは悪い奴だな。
神々の魔力を人族のために使おうというのか」
「人聞きの悪い事を言わないでください、ルーパス。
そもそも宣戦布告もせずに問答無用で攻撃してきたのは神々の方です。
そんな糞な神々が攻撃に使った魔力を、攻撃を受けた被害者である人族が自分達のために使うのは当然のことです。
最初からその心算で防御優先の戦略を組み立て、そのために必要な魔法陣を開発したのですから」
「アラステアは絶対に敵に回したくないわね。
全く勝てる気がしませんわ」
「大丈夫ですよミネルバ。
オードリーが愛する母親を敵に回したりは絶対にしません」
「それはオードリーに嫌われたら敵として扱うという事じゃないの」
「そうですね、そうなりますね」
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