第18話:突入
フィアル公爵邸に駆けつけたグレアムは躊躇する事無く門を突破した。
最初は忍び込む予定だったが、そんな状況ではなかった。
フィアル公爵邸からとても人の声とは思えない雄叫びが聞こえている。
雄叫びだけでなく悲鳴も聞こえてくる。
尋常でない事が起きているのが明らかだったのだ。
素性を隠すためにフルフェイスの兜をかぶっている。
兜の下には覆面もしている。
最悪の場合は顔を自ら潰して正体を隠す覚悟もできていた。
だからこそ馬上のままでフィアル公爵邸に入れたのだ。
普通なら馬上のまま公爵邸に入ることなどできない。
普通なら公爵邸は厳重に護られている。
敷地内に入る門は閉められ複数の門番が護っている。
入り込もうとすれば即座に戦闘になる。
それが一人の門番もいない。
城門にも匹敵する厳重な門が開け放たれている。
その状態で雄叫びと悲鳴が聞こえてくるのだ。
グレアムは騎乗したまま公爵邸のエントランスまで行き、馬上から玄関扉を蹴破ったのだが、目に入ってきた光景は地獄絵図だった。
そこには誰一人人間は残っていなかった。
視界に入るのはモンスターばかりだった。
そのモンスターが互いを喰らい合い犯し合っていた。
決死の覚悟を決めていたグレアムですら一瞬固まったしまった。
それほど予想外の衝撃的な光景だった。
だがグレアムは直ぐに自分を取り戻した。
エントランスから玄関ホールに馬上のまま進んだ。
公爵家ともなれば多くの貴族を招いてパーティーを開く事も多い。
当然玄関ホールは数百人が集まれる広さになっている。
だからこそ騎乗したまま乗り込めたのだ。
だからこそモンスター達の地獄絵図が繰り広げられているのだ。
グレアムは馬上から槍を振るってモンスター達を突き殺した。
モンスター達がグレアムに意識を向ける前に六体を刺し殺した。
「庭で待っていろ」
グレアムは愛馬に命じると馬上から飛び降りた。
槍で六体目のモンスター刺殺したのを最後に、騎乗を諦めた。
これ以上騎乗したままで戦えば愛馬が殺されてしまうと判断したのだ。
広いとはいえ閉鎖された公爵邸内部では馬の機動力を生かせない。
四方八方から襲われては防ぎきれないと判断したのだ。
グレアムは槍をモンスターの身体に刺し貫いたまま、双剣を抜いた。
周囲をモンスターに囲まれた状態では、強力でも取り回しの難しい武器は不利。
それよりは早く振り回せる双剣を両手に持って縦横無尽に振り回すべき。
そう判断しての武器の変更だった。
素早く鋭く双剣を振り回して小刻みにモンスターを斬った。
一撃必殺ではなく、モンスターを傷つけ弱らせ盾にする計算で戦った。
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