第3話
気がついた時、私はお城の中にいた。
ここはどこ?ともくんは?
確か…私はあの女をーー
前にいる王様?みたいや奴が話している。
国を救ってくれ?何言ってくるの?
ともくんは…?どこ?
「あ……そうだ…私が…」
叫びながら私はその場にしゃがみ込む。
私がともくんを…殺したんだ…
最愛の人を手にかけてしまったんだ…私。
こんな私を大切にしてくれたともくんを…
もう彼に会えないという絶望感。
そんなことをしてしまった自分に対する嫌悪感。
色々な感情が私の内側で渦巻き始める。
「あーー」「だいーー?」
周囲にいた人たちも私には何か言ってくる。
多分、心配するような言葉をかけてくれていたのだろうけど、その時の私には全てが悪いようにしか聞こえなかった。
「黙って…黙ってよ!」
ーーー黙れよ
私の中で“あの時“のようにまた何かがプツンと切れたような気がした。
「あれ…?」
そして意識が戻った時ーー
そこは血の海、私はその真ん中に立っていた。
手には血がべっとりとついた斧槍。
さっき私に声を掛けてくれていた人たち、鎧を着た騎士ような人たちがそこら中に倒れている。
「これを私が…?」恐怖のあまり手で体を覆うようにしながらその場にうずくまる。
「いや…だよ。ともくん助けて…」
また私やっちゃったよ…怖いよ…
自分が自分でなくなっちゃいそうだよ…
「ともくん…探さなきゃ…」
斧槍を拾い、王国から出て行く。
お城から出る時、何人もの騎士たちが私に向かって来たけど、私が軽く武器を振るだけで体が真っ二つに分かれて中から噴水のように鮮血が飛び出てくる。
こんなに…簡単に人って死ぬんだ…
その後は城下町をただただ彷徨っていた。
いるはずない『ともくん』を呼びながらずっと。
三日ぐらい経った頃、私はいつものように屋台の回りをフラフラ歩いていた時だった。
「そうだなーー」
いつも他の人の声なんて何も聞こえなかったはずなのにその声ははっきりと聞こえた。
「ともくんの声だ…」
私はすぐに周りを探したけど…ともくんの姿はどこにも見つかることはなかった。
幻聴?最初はそう思ったが、
「私が聞き間違えるはずがない…」
そう考えた。
いや、そう考えないとまた私を見失ってしまいそうだったから…
私はまたお城に行くことに決めた。
ともくんも、もしかしたら私と一緒でお城に連れてこられたんじゃないか?と思ったからだ。
だが、その結果は正解でもあり、ハズレでもあった。
私がお城に行った時、もうともくんは追放された後だった。
王様に場所を聞き、私は急いでその場所へと向かった。
私が城を出る直前、王様が「死ねぇ!」といって私に火?のような魔法を放ってきた。
よくわからなかったが、一応跳ね返すと王様に当たり、黒焦げになっていた…
その後、王様がどうなったかは知らない。
死んでしまったのかもしれないが…
そんなことより私はともくんを助けることで頭の中はいっぱいいっぱいだった。
結果、私はともくんを助けることに成功した。
あの時、私は包丁でともくんを殺してしまった。
けど、今目の前では生きているともくんがいる。
そして私はともくんを一つ約束をした。
「人を殺さない」
日本では当たり前なルールだが、この世界の私にとってそれは頭を悩ます約束だった。
だけど、嬉しかった…私にはまだチャンスがあるとこの約束がある限り私はともくんと一緒にいられる…
「別れよ…」
ともくんが前の世界で言ったこの言葉…
話してみると、覚えていない?様子だった。
絶対にこのことを思い出させてはいけない…
もしともくんが思い出してその言葉をまた私に口にした時ーー
私は正常でいられるだろうか?
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