死ねない狐は闇夜に舞う ―妖憑きの落ちこぼれ陰陽師―

夏村シュウ

1、死ねない狐は主と出会う

第1幕

序幕



 赤い月、青く染まった世界。


 霞む視界の先に映るのは、血に伏せた幼馴染の姿。


 そして巨躯を震わせる鬼と、妖しくわらう妖狐――――




 どんなものでもいい、鬼をはらえる力が欲しい。

 震える足で体を支え、虎鉄は印を結んだ。



「その目、やはり昔から変わっておらぬな」


主様ぬしさま、私を殺してはくれまいか――――?」


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