初金星

淡女

第1章「私の事象」その1


いつぐらいからかな?


身長が止まってしまったのは。


いつぐらいからかな?


どこへ行くにも走ったりせず向かうようになったのは。


分からない、もうずいぶん時間が経ったような気がする。


私は心が震える瞬間というものを知らない。


ベッドに寝そべってYoutubeの動画を見るか友だちと遊ぶ、それが私の日課だ。


今も学校が終わってその足で帰宅して、自分の部屋で電気も点けずYoutubeの動画を見ている。


別にそれに対して不満があるわけじゃない。


今はテレビよりもYoutuberの方が面白いし、学校の友だちと一緒にいると安心する。


でもこのままじゃダメだって、何となく思っている。


汗や涙を流したことのない私の心と身体は、誰に言われるわけでもなく努力することを忘れてしまった。


「喘息だから仕方がないよ」


目をつむる度にこの言葉を思い出す。


誰に言われたか、どれだけ言われたかさえ覚えていない。


神様が作った私の設計図にあまり納得ができていない。


立てなかった、みんなと同じスタートラインに。


みんな、私に気を遣う、みんな、私に遠慮する。


それを優しさではなく、同情だと思ってしまった自分にも何だか嫌気がさしていた。


だから逃げた、挑戦することから、必死になることから。


それが卑怯なのかは分からない。


でも逃げることに慣れてしまった心と身体を私は嫌いになりかけていた。

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