ヘイルズインサート

春嵐

第1話

「ノイズが大きいな」


 レーダーの感度を下げた。もしかしたら、気象条件がおかしいのかもしれない。このゲームは平気でそういうことをしてくる。

 仲間内の通信。テキストメッセージ。通信しんどい、という文字列のみ。


「目視しかないな」


 ゆっくりと、周囲を警戒しながら歩く。銃ではなく近接の気分だったので、ナイフしか装備してない。

 視界は悪くないが、結局ノイズのせいで索敵がままならない。

 普通の敵なら、簡単に倒せる。自分はそんなに弱くない。ただ、隣で、俺にもたれかかりながらログインしてるやつだけが怖い。


「おい」


 通信。やはり、通じない。

 索敵。突然、赤く鳴り響く。後ろ。


「あいしてまあす」


 刺された。

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