第63話 屋上での戦い?

 『竹中颯争奪戦』って何だよ……?


 俺みたいな奴を取り合って何が良いんだ?


 マジでこうなってしまった原因を考えなくては……



「伊達さんまでが竹中君の事を好きになるなんて……信じられないわ……でも私は負ける気はしないけどね」


「ハハハ、そうだね静香。私も一年生に負ける気はしないわ。ってか、負けるわけにはいかないわ!!」


「フフフ……お二人共、負ける気はしないっておっしゃっていますけど、決めるのは竹中君ですから……それに彼に強引にアプローチしても逆効果だということをお忘れにならない方が良いと思いますよ……」


「 「ウグッ!!」 」


 うーん……三年生の二人よりも伊達さんの方が凄く落ち着いている様に見えるよな。


 まぁ、武田さんや上杉さんは見た目は美少女だけど性格が少し男っぽいから恋愛に関してうといところがあるんだろうけど……


 って、一度もリアルに恋愛をしたことが無い俺がそんなことを分析する資格なんて無いけどな。



「いずれにしても私は竹中君に告白はしましたが『今回は』断られましたので、今日のところは教室に戻ります。またこれから竹中君に気に入ってもらえる様な女になれる様に努力をしていきたいと思います……」


「えっ? もう教室に戻るのかい?」


「はい、武田先輩……」


「いや待ってよ? 今ここで『勝負』をして決着をつけましょうよ!?」


「お断りします、上杉先輩。どうせ勝負って『腕相撲』でしょ? 私は先輩達みたいに『男勝りな性格』ではありませんし、力も無く先輩達と違って『か弱い女の子』ですから不利な事はしませんよ。私は普通に女の子らしいやり方で竹中君にアプローチをやっていきたいと思いますので……」


「男勝り? ……か弱い女の子?」


「静香……今、私達は伊達さんにサラッとディスられたよね?」


「フフフ……それでは失礼しますね? 竹中君もまたね」


 伊達さんはニコッと微笑みながらそう言うと屋上から出て行った。


 屋上に残された俺達三人はしばらく無言だったけど、上杉さんが口を開く。



「ところで静香? あんたは何で屋上に来たのよ? 凄く慌てた感じで来たけどさ」


「えっ? それは……私も今日は竹中君とお話をしようとカンナにお願いして中庭に来てもらおうとしたんだけど、竹中君と一緒に屋上に行こうとしていた伊達さんに阻められたって聞いたから……」


「ふーん……あのカンナが伊達さんにねぇ……ってか、あんたはいつも人任せね!? そんなんじゃ颯君に……」


「うっ、うるさいわね!! ケイトに言われなくたって分かっているわよ!! ただ、今まで男の子を好きになったことがないからさ……どうすれば良いのか全然わからなくてさ……」


 うわっ!?


 あの強いイメージの武田さんがモジモジしているぞ!!


 なんか、意外だよな。それにモジモジしている姿が可愛いっていうか……


 いやっ、俺は一体何を考えているんだ!!



「モジモジしないでよ、静香!? あんたらしくないし、見ていて気持ち悪いわ!!」


「気持ち悪いって何よ!? し、失礼しちゃうわね!!」


「それでどうするの? 今ここで私と静香だけでも決着をつける?」


 えーっ!? いや、マジで今日は勘弁してくださいよ!!


「今日は止めておくわ……わ、私も伊達さんと同じ様なやり方で竹中君にアプローチしようと思っているから……だから竹中君?」


「えっ? あ、はい……」


「つ、付き合ってとは言わないから……こ、今度ゆっくりお話をする時間を作ってもらえないかな? 私の事を竹中君に知ってもらいたいし、私も竹中君の事を知りたいしさ……だ、ダメかな……?」


 うーん……付き合えと言わないのなら……


「わ、分かりました……話をするくらいでしたら……」


「やったー! あ、ありがとう竹中君!! また連絡するわね? あっ、もし良かったらラ、ライン交換してくれないかなぁ? その方が連絡しやすいし……」


「ずるいぞ、静香!! は、颯君!! 私も君とゆっくりお話をしたいし、ライン交換もして欲しい!!」


「す……すみません……実は俺……スマホを持っていないんです……」


「 「え――――――――――っ!!??」 」


 よ、予想以上に驚かれてしまった……


「ご、ゴメンね竹中君? まさか高校生でスマホを持っていない人がいるとは思わなかったから……でも驚いたわ……。それで竹中君はスマホが無くて不便じゃ無いの?」


「はい、武田さん……一度も不便に思った事は……」


「でも颯君がそうでも友達が颯君に連絡したい時に困らない?」


「いや上杉さん……俺、友達いませんから……」


「えっ、嘘!?」


 ん? まぁ、最近は『友達風』の人達は増えてきたけども……


「でもアルバイトをしてお金を貯める事が出来ればスマホを購入しようかなぁとは思っていますけど……」


「 「そ、そうなんだぁ……」 」





 【織田乃恵瑠の部屋】



 ピピピピ……


「うーん……まだ三十八度もあるわねぇ……」


「ゴホッゴホッ……で、でもママ……私、今からでも学校に行きたいわ……」


「何をバカな事を言っているのよ? こんなに熱があって行ける訳無いでしょ?」


「だ、だって……私がいない間に邪魔が入ったらどうするのよ? ゴホッゴホッ……」


「は? 邪魔って何のことよ? 今日は諦めて寝てなさい!! あっ、それと今日はどうするの? ノンちゃんが毎日欠かさず飲んでいる……えーっと……『内面液』だっけ? どうする? 今日は止めておく?」


「の、飲むわ!! ぜ、絶対にこれだけは飲むから!!」






―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


屋上で舌戦を繰り広げる三人の美少女

そんな彼女達を不安な気持ちで見守る颯


結局、彼女達はこれからもっと颯に気に入ってもらえる女子になるべく努力することで話はまとまった?感じになる。


その頃、風邪を引いて学校を休んでいる織田乃恵瑠は……

何か怪しげなドリンクを毎日、飲んでいるみたいだが……


ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆


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