第5章 誘惑編

第18話 呼び出し

「颯、昨日の『仙石集会』はどうだったんだ? 楽しかったのか?」


 楽しいはずねぇだろ、前田!!


「いや、別に……」


 徳川のいきなりの暴走、羽柴副会長との駆け引き、そして織田会長からメガネを外せと言われて外してからの『無反応』……その後のことは何も覚えていない……


「伊緒奈さんはどうでしたか?」


「太鳳ちゃん、私はとても楽しかったよぉぉ。次回が楽しみだわぁ」


 徳川、お前は『鉄の心』を持っているのか!?


 よく、アレを楽しいと思えるよな。


「それに、とても『貴重なもの』も見れたしね……ウフ」


 えっ? 今、俺の顔を見て言ったよな?


 もしかして……俺がメガネを外した時の顔のことを言っているのか?


 はぁ……俺の顔ってそんなにもダメなんだなぁ……はぁ……もう絶対にメガネは外さねぇからな!!


「ああ、俺も『仙石集会』に参加したいなぁ!!」


 それじゃぁ、次回は俺の代わりに行ってくれ。


「前田君、そんなに『仙石集会』に参加したいのなら二学期に行われる『クラス選挙』を頑張ればいいのよ。それに今、前田君は『美化委員』として毎朝、教室のお掃除をしてくれているからクラスメイトの評判も良いと思うわよ」


「えーっ!? そ、そっかなぁ……ヘヘヘヘ……」


 めちゃくちゃ嬉しそうだな、前田?


 ほんと、もうお前と代わって俺が『美化委員』になりたいよ……


「竹中さん、なんか元気が無いですね? 大丈夫ですか?」


「えっ?」


 何だ、本多太鳳? 何故『陰キャオタク』の俺の事を心配してくれるんだ?


 それに相変わらず俺には『さん付け』で『敬語』だな?


「だ、大丈夫だよ……ありがとう……」


「あ――――――っ!?」


 な、なんだよ急に大声を出して!?


 それに顔が真っ赤だぞ!!


「どうしたんだい、本多さん?」


「い、いや……竹中さんにお礼を言われたのが嬉し過ぎて思わず声が……」


「なんだよ、それ!?」


 いや、マジで『なんだよ、それ?』だよ!!


「太鳳ちゃん、ダメでしょう? あなたにそんな態度をされると……分かっているよねぇ?」


「はっ!! わ、分かっています伊緒奈さん……どうもすみません……私としたことが……」


「まぁ、太鳳ちゃんの気持ちも分かるんだけどね……ウフ」


 は? 二人は何を言っているんだ?


 この二人の会話の意味がよく分からないぞ。



 ピン ポン パン ポーン


『お呼び出しを申し上げます。一年一組の竹中颯君、お昼休みになりましたら生徒会室に来て下さい』


 ピン ポン パン ポーン


「えっ!?」


「あら? 竹中君が生徒会室にお呼び出しって一体、何かしら?」


「颯、お前何かやらかしたのか!?」


「竹中さん、何か身に覚えがあるのですか!?」


 な、な、な、何故、俺が生徒会室に行かなくちゃいけないんだ!?


 呼ばれる可能性があるとしたら徳川の方じゃないか!!


 徳川は『仙石集会』で羽柴副会長達に嫌われる様なことを提案しているしな!!


 それなのに何故、俺が呼ばれるんだ!?


 わ、訳が分からん!!


「きょ、今日は早退しようかな……」


「 「 「ダメダメダメ、早退は絶対にダメ!!」 」 」


 何だよ、こいつ等は!?

 同時に『ダメダメダメ』って……


「竹中君? 生徒会室に呼ばれるって、滅多に無いと思うからちゃんと行った方が良いと思うわ。逆に行かない方が後々面倒な事になるかもしれないわよ」


「そ、そうですよ、竹中さん!! 絶対に行った方が良いですよ!!」


「俺が代わりに行きたいところだが、『貴様、何しに来た?』って言われるのがオチだから止めておくよ」


「わ、分かったよ……生徒会室に行ってくるよ……」



 【昼休み】


 俺は『呼び出し』があってから、めちゃくちゃ気になって授業なんて上の空だった。


 それに食欲も無くて弁当も半分くらいしか食べれていない。


 母さん、弁当残してしまってゴメンよ…….


 しかし、俺は何で呼ばれたのだろうか?


 というか、生徒会の誰が俺に用事があるのだろうか?


 それとも役員全員に俺は囲まれてしまうのか?


 はぁ……気が重い……早く家に帰りたい……


 ん? 前から歩いて来るのは……アレは羽柴副会長じゃないか?


 ってことは羽柴副会長は生徒会室にいないってことだから俺に用事がある人じゃ無いってことだよな?


 でも何だか羽柴副会長の顔色が悪い様な気がするんだが……


 何かフラフラしていないか? 今にも倒れそうな……


 あっ!! 倒れるぞ!!


 ガシッ!!


 俺は咄嗟に羽柴副会長に駆け寄り倒れそうなところを支えた。


 その時、絶対外さねぇと心に誓っていたメガネが羽柴副会長を支えた拍子に外れて床に落ちてしまったけど、そんな事は忘れて羽柴副会長に声をかけた。


「だ、大丈夫ですか?」


「あ、あなたはたしか……た、竹中君?」(ポッ)


 羽柴副会長の顔色が真っ青から何故か真っ赤になっていた。





――――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


無事に?集会を終えた次の日の朝

校内放送にて颯は昼休みに生徒会室に来るように言われる。

不安の中、生徒会室に向かう途中、目の前で倒れそうになっていた羽柴副会長を助けるのだが……


ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆



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