第86話- 寒空 あるいは 自暴自棄
冷たい風が体温を奪っていく
かじかむ指先
唇が震える
戻りたい、暖かなねぐらに
雪が降る前の湿った空気は肺を凍らせる
痺れた爪先
感覚が遠のく
帰りたい、君がいた部屋に
探さないでと書き置きはしたが
寒空は冷ややかに僕を見つめた
自暴自棄の行く末を
戻れない、わかってきた
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