第69話- 花椿
毎年の帰郷、庭の椿は去年も満開、母は あなたが帰って来るのがわかるみたい、そんな風に心待ちにしていたらしい。
自分が生まれた年に庭に植えたのだった。
その年は咲いた事は咲いたのだがあっという間に花は全部落ちてしまったのだと言う。
私の遺影に涙する母の肩は細かく揺れていた。
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