第6話。 赤い靴
赤い靴が片方だけ道端に転がっている、無くした子はどうしたのかと思いながらもそのまま通りすぎた。
自分の事でいっぱいになっている頭では余計な事には関わり合いたくなかったのだ。
憂鬱を引き摺りながら部屋に帰り、冷蔵庫を漁る、取り合えずビールでも飲もう、しかし他に摘まむものもなかった。
扉側に赤いキャンデイーがあるのを見つけたが、こんなもの入れたかな、記憶が無い。
その夜は遅くまで起きていて、気づくと2時を過ぎていた。
煙草でも吸うかとベランダに出ると急な冷気に包まれた、そして何処からか小さな音が聞こえてきた。煙草をくゆらしながらじっと耳をそばだてる、
ど う し て、 拾って く れ な、かったの
ゾクっとして部屋に戻ると、扉の前に片足だけ赤い靴を履いた女の子がひっそりと立っていた。
慌てて横をすり抜けるように外に飛び出し、例の靴を見かけた場所に行ってみたが、もう靴は見つけられなかった。
それからずっと、部屋にはあの子がひっそりと立ち尽くしている。
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