3、楽しみだった転生初日

転生がちょっと楽しみだって言ったな、あれは嘘だ。


気づくとやたら豪華な部屋のベッドに寝ていた。

知らない天井かなと思ったけど全然そんなことない。

不思議な感覚なんだが、自然と自分の部屋の天井だと思えた。

これが知識の統合ってやつなのか。

さてと、まあとりあえず起きますか。


「ん~」


ちょっと寝すぎた時みたいな感じがあるけど、概ね問題なし!

大きい窓から明るい陽の光が入って来て、鳥のさえずりが聴こえて、爽やかな目覚めといっていいかもしれない。

そうしていると部屋のドアが静かに開く気配。

公爵家とか言ってたし、メイドさんでも来たのかなとか思ってたら。


「お、お嬢様が……先生、先生ー!」


騒がしいなあ、何なんだ一体。

あ、そうか。

俺は高熱で倒れてたんだった。

そりゃそうなるか……なるか?

まあいいや。

今はそれどころじゃないしな。


そう。

さっきのメイドさんも言ってたね。

うん。

起き上がった時から若干気づいてたよ。

だってなんか胸元が重いんだもん。

髪もサラサラのロングヘアーで頭もちょっと重い。


「完全に女だこれ!」


ついつい声に出してしまった。

落ち着け俺、クールになろうぜ。

とりあえずベッドから降りて大きい姿見の前にいく。

そこに映っていたのは完全無欠の美少女だった。

寝起きだと言うのにさらっさらの金髪。

ちっさい顔には大きな瞳、すっと通った鼻、小さくも色の良い唇。

最上のパーツを集めて、完璧に配置しましたって感じ。

もう少し視線を下げると、ゆったりとした寝間着の上から見てもわかる膨らみ。

おっぱい。

大きすぎることもなく、全くないわけでもなく、ちょうどいい感じ(当社比)。

お腹周りはこの服だとよくわからん。

それよりも腰の位置たっかいよこれ。

そもそも、視点が高い気がする。

前世の俺が170cmくらいだったから、それ以上は確実にある。

女性にしては高い、いやこっちの世界の平均とかどうだっけ。



あーなんだこれ?

なんだこれ!

えー、女。

なんで女?

聞いてないよ。

聞かれてませんからって答える職員さんが思い浮かんで、妙に納得してしまう。

マジか……。

どうしようこれ。


転生が楽しみって言ってたさっきの俺が嘘のようだ。

いやまあ、困惑はしてるけど、楽しみなのは楽しみだけど。

魔法とか、そういうやつ。


とかなんとか思っていると、さきほどのメイドさんが医者っぽい人を連れて戻ってきた。

その後、問診やらなんやらして、異常なほど異常なしという診断をもらった。

それから家族と初対面。

会ってみると違和感なく自分の家族だと思えた。

そうして異世界転生初日はドタバタしつつも過ぎていった。

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