第11話 ハイスペックヤンデレ
「めでたしめでたし」
そう締めくくる父。
私はさっきから鳥肌が止まらない。
だってそうでしょう!
何この王子様!
ヤンデレ臭プンプンなんですけど!?
何にも興味持てなかったのに、一目惚れした女の子が興味持ったから自分も興味持つって、ヤバくない!?
しかも、安らぎの森ってボカシてるけど、これ絶対永眠のことよね?
「アリーどうだった?面白かったかい? 」
「えぇ!お父様が読んでくれたし、とても面白かったわ! 」
父が問いかけてきたので、一瞬で思考を切り替えて笑みを浮かべる。
「やはり天使」
上を向いて目頭を押える父はひとまず放っといて。
「ユズはどう思った? 」
無表情で瞬きもせず座っているユズが生きているか心配になり、手をかざして息を確認しつつ問いかける。
「サラッと流されてる魔獣退治とかドラゴンについて気になりまして……」
あぁ、なるほど。
それで考え込んでいたと。
ユズは考え込むと瞬きを忘れる癖があるから、たまに本当にビックリするのよね。
というか、私も流してたけど、闇の王子様はハイスペックヤンデレってやつよね。
鳥肌アゲイン。
コンコン
軽いノックの音。
「入れ」
「旦那様、お寛ぎの所申し訳ありませんが、執務に関して少しお聞きしたいことがございまして」
執事のオリバーさんだ。
父が困ったような顔をしたので、私はピョンっと父の膝から降りる。
父の膝は固くて、少しお尻が痛くなっていたことはここだけの秘密だ。
「アリー………」
シュン、という効果音がつきそうなほど悲しい目をする父。
「私お仕事頑張ってるお父様のこと、カッコイイと思うわ! 」
「よし行こう、オリバー」
スクッと立ち上がる父。
切り替え早いなぁ。
「じゃあ、アリー。少しお父様はこの場を離れるけど、ユズリアと一緒にここで待っていられるかい? 」
「えぇ、勿論!お父様もお仕事頑張ってね! 」
最後に私をギュっと抱きしめて、書斎を後にする父。
そして、ユズと二人になる。
正確に言えば、気配断ちが完璧すぎて、最早達人レベルのメイドさんが二人控えているのだけど。
このメイドさんたち、見つめていても見失いそうになるくらい、気配が薄いのよね。
流石メイドさんだわ。
さて、これからどうしようかしら。
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