第22話 アトランティス 10

アトランティス9は欠番です



暗黒会議室で押し黙る一同

誰も顔を上げない


議長 「状況を。軌道部」


軌道部長「最初の衝撃で地震計連動システムが作動し地上係止が解除、ケーブルは上空退避済みです。その後の騒乱で地上側設備が全損。まだ破壊は続いていますので損害は評価もできません。なお軌道上には現在32名が取り残されています」


議長 「まぁ彼らには落ち着き次第脱出艇で降りてもらうとして・・・」

議長 「安保部。どうなってる」


安保部副長「ミナ対象が住民から作った子存在の対処に追われて対象に張り付ける戦力が足りません。そもそもこちらの攻撃をどれだけ当てても対象の体組織が片っ端から再生されてまるで効果がありません」

安保部副長「子機存在の方は我々でも破壊可能ですがそれでも一体あたり小隊単位の割り当てが必要でやはり手が足りません。さらに子機存在にされた住民と知り合いだった隊員から戦役拒否者が続出。補充が追いつきません」


諜報部長「子機存在はエジプトでも確認されています。ミナ対象と比べれば大したことは無いので朝になれば全て灼かれて消えるでしょう」


構造部長「構造部です。地上部外殻の断裂に加え、主浮力体にも被害が出ています。今わかってる被害だけでカウントダウンが200年は巻き戻りましたよ。これ以上の損害は許容できません。降伏してください」


議長メストルがめちゃくちゃでかいため息をしてから。

言う。


メスト「だそうだ。サアムウト君」


ビービー鳴りまくりで会話内容半分もわからんかったな。だから聞かせたんだろうけど。

俺サアムウトは今全身拘束服な上、車椅子とも縛り付けられて会場に置かれていた。着けさせられたヘッドホンとリンクするのは膝の上に無造作に投げ置かれたこの前の翻訳機械。


メスト「たしかに先に手を出してそちらの住民を殺し、ファラオと君を拉致監禁処刑したのは我々だ。そこは謝罪する。」

メスト「どうすれば彼女の怒りをおさめてもらえるだろうか?」


俺は中継されてくる映像を見ていた。今の陛下ミナは満腹になったのか、捕食はやめて無表情で虐殺だけに勤しんでいた。タイムアタックでもしているかのような無駄の無い動きで次々殺していく。ははーん。あれは仕事だな?防衛出動や侵略迎撃出動で何度も見た光景。怒りの発散も殺戮の法悦もとっくに無く、ただまだまとが残ってるからやる流れ作業。これなら説得の余地はある。


サアムウト「エジプト全員の身の安全保証。と帰りの船の用意。後は私が話します」



目の前に空飛ぶ船が降りてきた。まだあったのか。

ぞろぞろ誰か出てくる。まだミナオレに向かってくるガッツのある奴が居たとはな。ちゃんと相手してやるか


サアム「陛下。相手が降伏しました。もう帰りますよ」


サアムウトだった


ミナ 「生きとったんかお前ェ」


サアム「まぁ、なんとか」

その後ろにクレイタルが立って睨んでいた。

サアム「子機存在はそっちで処理できてますよね?置いてってもいいスかね?」


クレイ「良いワケ無いだろッッッッッ!!」


そのクレイタルに近づく。見上げるくらいに近接して

ミナ 「おいアマ。オレの服返せよ」


クレイ「ヒュェッ」


夜明け前。

空中船専用発着場。船は港・水上にあるものと思いこんでいる陛下ミナには理解不能の施設なので破壊を免れていた。そこに集合させた子機存在吸血鬼が整列していた。

朝日が昇る。

急速に灼け爛れていく新米吸血鬼たち。やがて自然発火し塵となっていく。


サアム「これで良いですかな?議長殿」


隣に立つメストルに言う


メスト「まだだ。全個体の消滅を確認するまではな」


サアム「ここからは10分もかかりませんよ」

そうだ思い出した

サアム「そうだ。その頭の通信機くださいよ。同じやつじゃなくていいから。2コね。新品で」


めっちゃ嫌な顔するメストル


サアム「ほら、ホットラインだと思って。それにこっちの会話盗聴もできますよ?」


メスト「・・・・・・後日送る」


サアム「これからは友好的にいきましょうや。大使を置き合うのも良い」


ミナ 「いつまでやってんだァ!もう全部死んだだろッ!!」


夜から船内に引っ込んでる陛下ミナが急かす。

帰りの船は無人操縦船で全自動で行って戻るそうだ。さすがに船は貰えなかった。

サアム「それじゃ、ウチの王がああ言ってるんで。また来ます」


メスト「二度と来んな!!」

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