聖霊魔導学院の剣聖

剣舞士

第1話 プロローグ


《聖霊》


 元は《精霊》や《妖精》……などと呼ばれていたが、人々の懐く崇拝心や神聖視の眼差しが広がり、今の《聖霊》という呼び名に変わっていった存在。

 ここ、アースガル大陸に生息する摩訶不思議の存在だ。

 神が地上に降り立ち、人類がこの世に生まれて繁栄と衰退を繰り返しながらも100年以上の時が経った世界において、神は天界へと帰還し、《聖霊》たちは、今もなお地上に残った。

 神が去ってからも、人類が文明を発展させていく中で、人類と聖霊との関係は、より密接なものとなっていた。

 人の肉体に聖霊達が独自の紋章を刻み、人と一体化する事で、その存在を強固なものとしたのだ。

 その結果、ある種の人類が新たに誕生した……。

 聖霊をその身に宿し、その力を自在に操る事が可能となった新たな種……。

聖霊と一体になった特別な存在……《聖霊魔導士》という存在。




ーーーーー



「はぁ……はぁ……はぁ……」



 荒廃した大地。

 あたり一面に広がるのは大量の屍。

 土や泥を頭から被ったような姿で、その場に倒れている人の屍は、ゆうに100や200を超えている。

 その屍の山の中心に立っていたのは幼い少年だった。

 見るからに10代前半の少年は、右手に持った長刀を地面に突き立て、その柄尻に両手を重ねて膝立ちの状態でその場に佇んでいた。

 《ヴァルトヘイム帝国》……それが少年の所属している国家の名だ。

 霧と双剣が刺繍された腕章がつけられた黒いロングコートを身に纏っているが、裾には泥が付いて汚れており、 黒い生地で作られたコートでもはっきりと分かるほどの鮮血が付いていた。

 膝立ちの状態で佇む少年は、肩を上下に動かしながら、息を整えるように呼吸をしていた。

 咽せ返るような死の臭い。しかし、少年はそれを 気にすることなく再び立ち上がった。

 刀身にベッタリと付いている血を払う為、少年は握り直した刀を素早く右へと振り払う。

 呼吸を整えたところで、眼前に広がる景色を見回す。



「はぁ……ふぅ〜……これは、さすがに死ぬかな……」



 少年の眼前に広がる景色。

 そこには、幾千を超える敵兵で囲まれていた。

 重装甲の鎧を身に纏い、剣と盾を握りしめてジワジワと近寄ってくる。

 統率の取れた動きで編成された小隊は見えるだけでも100以上はあるだろうか……。

 こんな数の敵を、今から相手にしなくてはならないとは……。



「ぁぁ……完全に貧乏くじ引いたなぁ……」



 一度だけ空を見上げてから、深いため息をついた。

 ここまで来て、愚痴っていてもしかたないと……齢12歳の少年は思ってはいたが、それを納得できるほど、大人ではない。

 戦う運命にあるのは、薄々感じてはいたが……ここまで来ると笑いが出てくるものだ。

 空は戦争による爆発や聖霊魔導士の攻撃によって起こった爆炎、延焼によって上がった煙によって遮られている。

 かすかに見える赤い陽射しは、もう地平線に沈んでいく頃合いだ。

 夕焼け空を覆う黒煙。

 そこに集まる大量の敵兵。

 今更後に引くわけにもいかない状況であるのは認識している。

 だからこそ覚悟を決めたのだ。

 少年は両手で刀を握り直す。

 帝国軍の正式武装として配られる軍刀……それを少年の手に馴染むように改良したもの。

 もう幾度となく敵を斬り裂き、地に伏せて来たため、刀身の一部には刃こぼれの痕も見受けられる。

 しかし、それでも少年は構えた。




「まぁ、最後くらいは……ちょっとカッコつけたいしね……!」




 一定の距離を保ち、相手の出方を待っている少年。

 相手側はこちらを警戒しているのか、身の丈を隠すほどの大盾を持った状態で、固まっている。

 そんな相手に、少年は自ら突っ込んでいった。

駆け抜ける脚にはいつしか雷鳴を纏い、その身を雷のように超高速で移動する。

 ほんの一瞬、瞬きをする刹那の瞬間に……少年は固まっていた敵小隊の眼前に移動していた。

 少年の出現によって、動揺を隠さずにいる敵兵たち……だが、少年の目には既に斬るべき相手としか映っていない。

 手にしている刀の鋒を相手に向けて、盾と盾の間を通すように刀身をねじ込んだ。

 鎧を貫通して、肉体を斬り裂く感触が手に伝わってくる。

 相手の呻き声と次第に流れてくる流血……手応えを感じて、少年は刀を引き抜く。

 ぐらりと傾く敵の体。

 それによって陣形が崩れた……その隙を狙い、少年は刀を連続で振るう。

 剣閃が幾度となく空を斬り裂き、それと同時に鮮血が飛び散る。

 たった一小隊を全滅させるのに、5分と掛からなかった。




「くっ……!ら、《雷仭》だっ!《雷仭》が出たぞぉっ!!」



 少し離れた所にいる敵兵から、そんな声が上がった。

『帝国の雷仭』……また『雷仭』とも呼ばれていたか……。

 そんな大層な名前を持つほど、自分が優れた魔導士ではないと思っているのだが、敵からしてみれば、当然のことだろう。

 たった一人で、戦場へと出ていった敵兵を全て斬り伏せて来たのだから……。

 相対するのは聖アルカディア王国。

 大陸有数の大国家……ヴァルトヘイム帝国が相手にしている敵大国である。

 そして世界で最も優れた聖霊魔導士を有している国でもある。

 目の前にいるのは一般兵士であるが、その後ろには聖霊魔導士を組み入れた魔導大隊が控えている筈だ。



「すぅ〜……はぁ〜……」



 少年はゆっくり深呼吸をしてから、目の前に広がる敵に向かって叫んだ。



「どうしたっ!お前たち王国軍の力はその程度かっ!!

 命の惜しくない者からかかって来やがれえぇぇっ!!!」



 自身の名を戦場で明かすのは決闘を行う上での魔導士同士の礼儀と言われている。

 まぁ、今のこの状況では決闘というよりイジメと言った方がいいのだが、少年があえて名を告げたのは、後方にいる味方から敵の目を自分に惹きつける為。

 今は自軍の撤退が最優先事項であると、幼い少年でありながら理解していた。

 故に、たった一人で大軍に向かっていっているのだ。



「おおおおおっーーーー!!!!!」




 互いに剣を向け合い、剣戟と血しぶきが飛ぶ中で、少年は数多の敵兵を薙ぎ倒した。

 その身に敵の血を浴びて、戦場を駆け抜けるその姿はまさしく《雷仭》の名に恥じない戦いであった。

 その後も戦いは続き、ヴァルトヘイム帝国と聖アルカディア王国の二カ国間で起こった大戦は《聖霊大戦》として世界の歴史に刻むことになった。


《聖霊大戦》

 聖歴286年

 アースガル大陸で勃発した大規模戦争。

 その大戦の総称であり、世に浸透している名では《聖戦》と呼ばれている大戦だ。

 この戦いによりヴァルトヘイム帝国は事実上敗北を期した。

 しかし、勝利を収めた聖アルカディア王国には勝利したという事実と同時に、ある伝説が語り継がれている。

 たった一人の聖霊魔導士に、幾千からなる王国の軍隊が敗れたという伝説。

 大戦後の王国内でも、紙面情報誌などで大きな街から小さな村にまで伝わっている……王国の大隊をたった一人で退け、味方である帝国軍を無事撤退させた一騎当千の魔導士……帝国の雷仭ライトニングエッジの名が……。




ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー





 聖暦290年

 《聖霊大戦》と呼ばれた大規模戦争が終戦して、四年ほど経った。

 聖アルカディア王国の敵対国ヴァルトヘイム帝国は完全に消滅した。

 王国軍は帝国の首都ヴァベルにまで侵攻し、陥落させ、帝国の頂点に立っている国の指導者『皇帝』を捕らえることに成功……それによって王国軍は勝利宣言を発した。

 皇帝の処刑が執り行われてすぐ、旧帝国領の統治が行われ、元々あった帝国領の三分の二が王国の物となり、戦後処理が行われたのだった。

 残った三分の一の領土は新たに《アルトランテ自治州》として再統治される事になり、農業と商業を主な産業として賄われている。

 その《アルトランテ自治州》商業区内は、平日であるにもかかわらず、沢山の人で賑わっていた。

 王国と旧帝国の首都の境にあるこの自治州には、国境ということもあり、世界各地からいろんな物が流通してくる。

 食品や野菜、果物などの商品から織物や反物といった衣類、それらを取り扱う商店などが立ち並び、平日休日問わず人で溢れている……。

 物だけでなく、人の行き来も頻繁に行われており、国境を越える要所としても使用される為、宿泊施設などもあるため、産業のみの発展に留まらず、王国からの観光客も年々増加傾向にあると、紙面情報誌……『新聞』と呼ばれる情報誌で語られていた。

 最近では、技術革命も行われて人の目には見えない微弱な電波を受信・送信する事で、遠方との情報網を確立させる『無線機』が出来上がり、その技術によって『ラジオ放送』なる物も普及し始めた。



『続いてのニュースです。最近、王国北東部にある鉱山地帯で、不慮の事故が多発しているということで、聖都アヴァロンから調査隊の派遣が正式に決定しました。

鉱山地帯の事故発生原因は、今のところわかっておらずーーーーー』


「やれやれ、鉱山部は慌ただしいなぁ……あそこはもう地下資源があまり残されてねぇって聞いたがな……」


「帝国が持っていた財源の一つでしょう?昔から取ってたってんなら、まぁ、底が付くのは目に見えてるわよねぇ」


「だからこそよぉ。そんなところで事故って……まさか、落盤とかじゃねぇよなぁ?」


「私に聞かれたってわかんないわよぉ〜」



 商業区内の商店街の一角に店を構える飯酒屋『ナボリ』。

 その店内にあるカウンター席では、肢体のゴツい偉丈夫の男性が席に座り、テーブルを挟んで向かい側には店のエプロンを着た女性……共に20代にみえる男女が、ラジオのニュースを聞いていた。

 偉丈夫の男性は油汚れのついたオーバーホールとシャツを身につけて、木製のジョッキの中に注がれているラガーを喉に流し込んでいく。

 女性は男性の目の前から動かず接客している。



「でも鉱山部なら、グランさんとこの鍛冶屋さんにも影響が出るんじゃないの?」


「いや、あそこの鉱山部の所とは取引してねぇから大丈夫だ」


「ヘェ〜」


「サーシャさんっ!料理できたんだから、さっさと運んでくれよっ!」


「あらあら、ごめんなさ〜い」



 二人で話し込んでいるところに若い男性の声が割って入る。

 女性が後ろを振り向くと、後ろにはまだ10代の少年が両手に料理の乗った皿を持っている。



「はい、五番テーブルのミートパスタ!それとグランさんのハンバーグ!」


「はい、ありがとう〜イチカ君」


「おう、すまねぇなイチカよぉ」



 サーシャと呼ばれる女性にハンバーグを渡して、ミートパスタはその隣のテーブルに置き、イチカと呼ばれた少年は両手を腰につけて再びサーシャに向き直る。



「親父さんが奥で怒鳴ってましたよ?イチャつく前にちゃんと働け!……ってさ」


「イ、イチャつくなんてそんな……」


「べ、べつに俺たちは……!」


「はいはい、ハンバーグ渡して、あと五番テーブル。俺が四番テーブル行くからさ」


「う、うん……」



 イチカはそれだけ言うと、厨房の作業台に置いていたミートグラタンを持って別のテーブルへと向かう。



「お待たせしました。当店人気商品のミートグラタンです」


「わあ〜!」


「美味しそうねぇ〜!」


「熱いので、気をつけて下さいね」


「ありがとうね、イチカ君。いただきます!」


「いただきま〜す!」



 ミートグラタンを持っていったテーブルには、幼い少女とそのお母さんの二人が座っている。

 近所に住んでいる農家の家族だ。



「いつもお手伝い大変ね、イチカ君。ちゃんと休んでるの?」


「大丈夫ですよ、ミーアさん。そう言えば、もうそろそろ収穫の時期じゃなかったけ?」


「うん。今回も結構いい感じで実ったの。いい小麦が出来たわ」


「なら、俺も手伝いに行きますよ」


「ええ?いいの?この前も出荷の手伝いしてもらったのに……」


「いいですよ、それが俺の仕事なんだし」


「『なんでも屋』……ねぇ。本当にちゃんと休んでるの?ちゃんと食べてる?」


「ええ、このあと仕事上がりだから、ここで何か作って食べようかなって思ってますよ」


「じゃあ、おにーちゃんもいっしょにたべよう!」


「え……いいの?クーちゃん」


「うん!クーといっしょにたべよう!」


「いいんですかね、ミーアさん?」


「ええ、もちろん!よかったわねぇ、クーちゃん」


「うん!」



 大喜びする女の子はミーアの一人娘であるクロエ。

 栗色の明るい髪を頭の左右で二つ結びにしている天真爛漫な5歳児だ。

 ミーアはクロエよりも淡い髪色で、それをボブカットにしている。

 二人の家は少し離れた場所に土地を持っており、そこで小麦を栽培している。

 その小麦は、ここアルトランテ自治州で販売されたり、パン屋へ卸したりされている。

 ミーアは収穫を手伝い、クロエは出荷しに行く時に一緒についていって手伝いをしているみたいだ。



「じゃあ、あともう少しだから待っててね」


「うん!まってるね!」



 イチカはクロエに手を振って、一旦その場を離れた。

 厨房に戻り、残りの注文を見る。



「悪いなぁイチカ。いきなり手伝いを頼んじまってよぉ」


「あぁ、親父さん。別にいいんですよ、俺も好きでやってるんで」


「ありがとな。ケンの奴がいきなり腰をやってよ」


「ケンさん、大丈夫なんですか?」


「おう。階段で足踏み外して腰を強打しただけみたいだし、クスリ塗って休んどきゃすぐ治るさ」


「なら良いけどね」


「だがまぁ、それはともかくウチのバカ娘もな……全く、仕事はちゃんとやれって話だ……」


「良いんじゃないですか?サーシャさん、いまグランさんと結構いい感じみたいだし……」


「ふん!あの青二才にはまだ娘はやれん!」


「あはは……」



 サーシャとは、先程カウンターでグランの相手をしていた女性。

 この店の店主である親父さんの娘であり、グランの父親とも昔馴染みだそうだ。

 その経緯があってか、娘と息子は互いに好意を寄せているらしい。

 まぁ、二人が幸せになってくれるなら、それで良いと思うのだが、当の父親が頑固者だとグランの方が後々大変だろうが……。



「イチカ、今日はもう上がっていいぞ。もうだいぶ客も引けてきたからな」


「え、いいですか?まだ時間までもう少しありますけど」


「なに、急遽入ってもらったし、お前の休日をパーにしたお詫びだと思ってくれや」


「そんなの気にしなくて良いのに……」


「俺の気が収まらねぇんだよ。そら、さっさとあの娘っ子たちん所に行け」


「あ、聞こえてました?」



 どうやらミーアとクロエとの会話を聞いていたらしい。

 イチカは観念して、親父の言うことに従った。



「じゃあ、お言葉に甘えて……お疲れ様です」


「おう、お疲れさん」


「ちょっと厨房借りていいですか?」


「あぁ、賄いか?裏の食糧庫に余った野菜とがあるから、それ使っていいぞ」


「ありがとうございます!」



 使える食材が多いのは良いことだ。

 イチカはエプロンを脱ぎ、頭に付けていた頭巾を取って厨房の裏にある更衣室の棚に置いておく。

 あとはサーシャさんが洗ってくれるだろう。

 イチカはその足で店の裏側へと出て、倉庫に入っている食糧を探し始める。



「ええっと……ニンジンとジャガイモ……あとソーセージとかは……あ、あった。

 あとは、キャベツ……コンソメスープは貰えばいいか」



 イチカは一人分の食材だけ取って、その場から出ようとした……その時だった。



「う、うう……」


「ん?」


「うぅぅ……」


「な、なんだ?」



 店の外にある食糧庫。

 店とは別に裏庭のような場所に建てられており、雨風凌げるように小屋の様になっている。

 故に、食糧を厨房に追加するには、一旦外にあるこの食糧庫から食材を取らなくてはならないのだが……。

 何故か、その裏庭の地面に……行き倒れの人影が一つ。

 周りは暗く、灯りもないことから、それが何者なのかは分からないが、人の形をしていることが見てとれる。

 その人影は、低い呻き声のような物を喉から捻り出すかの様につぶやく。



「うぅ……ぁあ……」


「も、もしもし?大丈夫ですか?」


「うぅ……」


「っ……?」



 店から溢れる僅かな灯りで、ようやくその姿を見ることができる。

 腰まで伸びた銀色の髪。

 頭の両サイドで二つ結びにしている。

 その銀色の前髪から覗くのは紫紺の瞳。

 そして必死にこちらへと右手を伸ばしている。

 しかし、伸び切ったその手は、急にパタリと地面に落ちた。

 そこでハッとなったイチカは、持っていた食材を倉庫の床において、地面に倒れている人物に駆け寄った。



「おいっ、大丈夫かっ?!」



 慌てて駆け寄り、その人物を抱き起こす。

驚くことに、銀色の長髪と身につけていた白亜のマントのせいで分からなかったが、その人物はまだ幼い少女だった。

 マントの中から見えたのは蒼色を基調とし、白いフリルのついた軍服を身につけており、その軍服を見て、イチカは驚く。



「これは……帝国の軍服?」



 そう、少女の着ていた軍服は、かつて聖アルカディア王国と戦争をし、滅びたはずのヴァルトヘイム帝国の軍服と酷似していた。



(けど……こんな形のは見たことないな……改造したものなのか?それとも……)



 よく似た別の服なのか?

 そして、問題はそこではない。



(っと、そんな事どうでもいいだろう!この子は一体、なんでこんな所で……?)



 倒れているのか?

 抱き起こして、今もなお自分の腕の中にいる少女の意識を確認するため揺さぶってみる。



「おい!大丈夫かっ?!どうしたんだっ!」



 少女は小柄で、整った顔立ちをしており、見た目ではかなり育ちの良いどこかの令嬢かと思っていたが、軍服風の服装を着ているのが、イチカの考えを混乱させる。

 何度か声をかけている内に、またしても少女の口から声が溢れるように出る。



「ぅぅ……」


「ぁ……!わかるかっ?!大丈夫か?!」


「ん……ぅぅ……」


「どうしたんだ!?何があったっ?!」



 見たところ外傷はない。

 多少土埃が全身に付いているが、おそらく倒れた拍子についた物だろう。

 なんとか喋れるなら、とりあえず大丈夫そうだろうが、もしも何かの病気か、それとも毒などによる衰弱なのか……。



「うぅ……ぁぁ……」


「っ……!」



ギュウウーーーーー。



「お……」


「お?」


「お腹……空きました……」


「……………」




 どうやら、今すぐにでも死ぬと言う心配ではなかったようだ。

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