第6話Part.3~色々な意味で凄い子~
俺が眠りに落ちてからどれぐらい経ったか、俺は結局朝までは眠れず途中で目が覚めてしまった。光の具合からしてまだ朝まではまだ長そうだ。俺は二度寝をしようと目を閉じたが、少しずつ意識と感覚がはっきりとしてきた。
意識がはっきりしてくるにつれて、自分の右腕に何かが当たっている感覚があることに気づく。俺は顔だけを右に向けてみるとミリアが俺の腕に抱き着くような体勢で眠っていた。俺は驚いて声を上げそうになったが、左手で口を押えて何とか声を押し殺した。
少し気持ちが落ち着いてきたので俺は改めて彼女の様子を見てみる。彼女の腕は俺の腕に絡みつくような状態となっており、ここから引き抜こうとしても少ししか動かせない。そしてそうすれば彼女の柔らかなものが様々な形に変わって更に密着していく。そして彼女は更に強く抱き着いてきて余計離れられなくなった。
これはこのまま寝るしかないのだがこの状態ではとても寝れる気がしない。とはいえさっきは寝れないと思いつつもいつの間にか眠りに落ちていたのでそれを期待して目を閉じてそのまま待った。
……ダメだ、一向に眠れない。逆に頭が冴えてきて、分かりやすく感じる身体の接触の感触だけではなく彼女の寝息や心臓の鼓動まで伝わってきていることが分かる。彼女の身体はとても温かい。今まで感じたことが無い温かさで自分の鼓動が速くなっていくことに気がついた。
これは朝まで眠れそうにないなと苦笑いしつつ目を閉じたままで居ると、急に彼女の身体が離れた。俺は彼女が起きたのかと思いそちらに顔を向けたが目を閉じていて、狸寝入りでもなければ眠ったままだろう。
そもそも最初に寝た時はくっついたりもしていなかったので、どうやらミリアの寝相が相当悪いようだ。まあとりあえずこのままくっつかれ続けていたら寝れそうになかったので助かった。
俺はこれでゆっくりと眠れると思って再び目を閉じると、またミリアが動いている。今度は離れて行っているようだが中々止まらない。これは寝台から落ちるのではと思った時にドン!という音が響き渡った。やっぱり落ちてしまったらしい。
落ちてしまった後は部屋は再び静まり返った。彼女は寝台に上がってこない。もしかして眠ったままなのか?そう思って寝台の上から床を覗き込むように見てみると、彼女は床で眠り続けていた。あんなに大きな音を立てて落ちたというのに目を覚まさないとは図太いというかなんというか。しかしこのままの状態では風邪を引いてしまうかもしれない。
やれやれ仕方がないと俺は寝台を降りて横たわる彼女の前に立つ。今彼女は仰向けの体勢となっている。俺は彼女の膝の下に右手を差し入れて、左手は彼女の背中上部に。そして彼女を持ち上げる。
意識のある人を持ち上げるのは相手もこちらに合わせてくれるのでまだ楽なのだが、意識のない人となるとかなり持ち上げにくい。
何とか彼女を持ち上げたが、全く起きる気配がない。これだけ無防備に熟睡してしまっているのはさすがに不安になる。町の宿屋ならそう問題は起きないだろうが、やむを得ず野営をすることになった時は少し問題だ。いきなり魔物に襲われた時彼女が全く起きないという事態になりかねない。
俺は寝台にゆっくりと彼女の身体を乗せて肩の部分まで敷布を掛けて、「今度は落ちるなよ?」と聞こえてるわけがないがそう声を掛けてから俺も自分の側に戻った。その後は俺もすぐに眠りにつくことができた。
辺りが明るくなってきた辺りで俺は二度目の目覚めをする。熟睡というわけにはいかなかったが目覚めは悪くはない。また落ちてやしないかと隣のミリアの様子を見る。落ちてはいないが真ん中辺りに寝かせたはずだがまた端の方で床に落ちかけている。まだ時間はあるので彼女を起こす前に服を着替えておくことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます