第3話Part.4~討伐の報酬~
【カニー=この世界の通貨】
俺はイングジャミの巨体を引きずり歩く。格好をつけてダーシャをヤツらに残したまま去ったことを少し後悔した。だが今更やっぱり重いから返してと言いに行くのはあまりに格好悪いし、それにヤツが目を覚ましていたらまた絡まれそうなのでどちらにせよ行く気にはならない。
ダーシャ無しでこれほどの大きさの死骸を運ぶのは初めてで俺は汗だくになる。だがそれでも必死に引っ張り続けているとロデードの町が見えてきた。まだ近い場所だったのは不幸中の幸いといったところか。
やっと町の入り口に到着した俺は門の前に居る守衛にイングジャミを討伐したことを告げる。これは町の中に死骸とはいえ魔物を入れると住民が驚いてしまうため、門を見張っている守衛に伝えるよう定められているからだ。
守衛は「少々お待ちください。」と言って詰所に入る。詰所から別の者が出て行きおそらくギルドへ報告に行くのだろう。
その間俺たちは守衛と雑談しつつギルドの職員が来るまで待つことになった。
「おお、これはまさにイングジャミ。ブレイド殿、ベルナール殿、ご苦労様です。」
ギルドの職員がイングジャミの死骸の見聞を行い、これがイングジャミであることを認めると、俺たちは町の中に入り、そしてギルドまで連れていかれる。ミリアの方が足を怪我してしまっているのでわざわざ馬車を連れてきてくれていたようだ。
ギルドがある建物の中に入ると既に回復術師が待機していた。その回復術師にミリアを任せて俺はギルドの受付へ行く。
「ブレイド様、イングジャミの討伐、ありがとうございます。」
「いえ。たまたま遭遇してしまったためやむなく討伐したというだけのことなので。」
頭を下げて礼を言う受付嬢。まあ俺も討伐するつもりではなかったのだが成り行き上そうなってしまっただけなので少し苦笑いする。そして足が治ったミリアもやってきた。
「あっそうだ、ブレイド様は素材採集のお仕事も受注してましたね。集まりましたか?」
「あ……。」
受付嬢に元々受注していた仕事である素材採集の仕事は終わったかと尋ねられた。一応終わってはいたが、ミリアの足の痛みを和らげるためにその素材を使用してしまったため、求められた量に足りていない。
「い、いやすみません……。まだです。」
「そうですか……。なるべく早く終わらせてくださいね。」
「え?ブレイドさん、もしかしてあの薬……。」
「気にするな。草はまた毟ればいい。」
俺はその仕事はまだであることを謝った。期限まではまだ時間があるので、特に問題にはならなかった。そしてミリアは俺の使った薬草がそれであることに気づいたようで申し訳なさそうな顔をしているが、気にしなくていいと答えた。
「今回の報酬の20万カニーです。お受け取りください。」
受付嬢はそう言って1万カニー金貨20枚を出してきた。俺とミリアで半々で俺は10万カニーの報酬を得ることになるわけだが、これで宿にも泊まれるし旅に必要な道具もしっかり揃える事ができる。
俺はそれをありがたく受け取ろうとした。その時
「ちょっと待てやコラァァァァァッ!」
ギルドの入り口から怒鳴り声が聞こえてきた。
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