第36話 おむ作

 装着させられた白いブーツを片足を上げて見つめる作田。

 足の爪先つまさきをコンコンと滑らかな床に叩くと、再び腰を低くし構える。


 「こんな厚着あつぎじゃ、汗をかいちまう。早く始めようぜ」


 足音を一切立てずに、黒いマフラーを風で揺らすスパイクメンが作田の前へ出る。


 「さすがに最初から親玉は取らせてくれないよな」


 「当たり前です。皮も剥けていない変態を魔王様に近付けさせません」


 「おい、俺のコンプレックスなんだ。それ以上言うと泣くぞ?」


 悲しい気持ちになった作田は少し涙目になる。


 「何度だって言ってあげますよ、皮付きソーセージッ!」


 「許さねぇッ!」


 ほぼ同時にお互いが動き出し、正面からぶつかり合う。



 「影変化かげへんげ八咫烏やたがらすッ!」



 首の黒いマフラーが黒い鳥二体に変化し、作田めがけて襲う。


 さて、あの技を使う時が来たぜっ!

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