第26話 紫野田 舞さん作

「駄目だ」


しかし、ネコからの申し出をウサギ先輩は突っぱねる。


「お前の腸内カレーなんて、魔王ダークイエローが食うと思うのか?」


「そ、それは⋯⋯でも⋯⋯」


腸内カレーしか残ってないから━━とネコは悲しげに目を伏せた。


「⋯⋯」


ウサギ先輩は労わるように彼女の脛を撫でて、一言も発さない。


魔王ダークイエローを倒すため、ネコは勇者を探して異世界へ渡った。


しかし、労力を払ったその成果がグラタンひとつなのである。


もう終わりだ━━そういう空気がこの場には流れていた。



「いや、方法はある」



彼らのそんな沈黙を破ったのは、━━魂を込め終えたサクタだった。

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