第105話 冒険者ギルドで宴会
俺は今サラミスの街にいる、ジャイアントフロストバットとの戦いから戻ってきて、俺達、デニム達の捜索隊は無事サラミスへと帰還した。デニム達のパーティーのジーンとレミの二人の負傷者は街の診療所で診てもらっている。俺も診てもらったが大事無いそうだ、ただ寒いだけだった。ジーンとレミも回復魔法のヒールの魔法を掛けてもらってしばらく安静にしていれば問題ないそうだ。よかったよかった。
さて、俺は今ルビーさん達と一緒に冒険者ギルドにいるのだが、捜索隊を代表してバニングさんがギルドマスターに報告し終わったところだ。一方俺はというと受付のおねえさんに報告したところだ。
「それではジローさん、ギルドカードを見せてください」
「はい、どうぞ」
俺はギルドカードを受付のおねえさんに見せる。俺のカードを見て受付のおねえさんは目を見開いた。そして何事も無くカードを返してくれた。
「確かに、賞金首モンスターのジャイアントフロストバットの討伐履歴が認められました、・・・よって、ジローさんには討伐報酬として金貨20枚、200万Gをお支払いいたします、どうぞお受け取り下さい」
「こ、これはどうも」
金貨の詰まった袋を貰って、俺は手が震えた。もの凄い大金だ、大事に使わないと。
「それではみなさん、救助依頼の件、お疲れ様でした、これで依頼は達成です、本当にお疲れ様でした」
金貨を受け取り後ろを振り返ると、何故だか冒険者のみんなの目がらんらんとしている。なんだろうか。その時、サーシャが声を掛けてきた。
「ジロー、大金が手に入ったこういう時は、みんなに奢るものよ」
あ、そうなのか。冒険者仲間同士で盛り上がりたい訳だな。よーし、いっちょう声を掛けてみますか。
「みんな、今日は俺の奢りだ、飲んでくれ」
すると、みんな色めき立って一気に騒がしくなった。
「「「「「「 ひゃっほーーう!さすがジローだぜーーー 」」」」」」
「「「 ジローさん、ゴチになります 」」」
「「 ジローさん、お酌してあげますよ 」」
「ジローさん、高い酒いいっすか」
「ど、どうぞ」
「ありがとうございます、ジローさん」
みんな飲みたいだけみたいだ。あっちこっちで宴会が始まってしまった。俺は酒場のマスターに金貨1枚を渡してエールを注文する。この金貨1枚はみんなの酒代だ。エールが届いてちびちび飲んでいると受付のおねえさんに声を掛けられた。
「ジローさん、・・・ちょっと・・・」
「な、なんでしょうか」
「いいから、ちょっとお話が・・・」
なんだろうか、何時に無く真剣な表情のおねえさんだ。一体なんだろうか。俺と受付のおねえさんはギルドホールの隅っこまで来た。みんなに聞かれたくない話だろうか。
「ジローさん、・・・あなたのギルドカードのクラスの欄にバトルマスターとありましたが、間違いないのですか」
「え? は、はあ、たぶん」
しまった、そう言えばギルドカードにはクラスも書かれているんだった。もうばれた。
「ジローさん、私は女神教会で転職の儀が行われたなんて聞いてませんが」
「そ、そうですか」
「ジローさん、みなさんに言っていないですよね」
「は、はい」
「・・・はあ~、・・・この事は内密にしたい、そうですねジローさん」
「仰る通りです」
「当たり前です!、上級職なのですよ! 普通ならもっと街全体で騒いでいてもおかしくない状況なのですよ」
「す、すみません」
「はあ~、・・・とにかく、ギルマスへの報告は私がします。規則ですので、いいですかジローさん、この事は私とギルドマスターしか知らない事とします、いいですね」
「はい、よろしくお願いいたします」
ギルドホールの隅っこで受付のおねえさんと話ていると、サーシャ達が大声で呼びかけてきた。
「あ~! ジロ~が、受付のお姉さんを口説いてる!」
「なんだって! ジロ~さんは何であたいを口説かないんだい!」
「ちょっとジロ~、この勘違い年増女がなにか勘違いしてるから来て~」
「だれが年増だい! それを言うならあんたの方が年増だろうが!」
「なんですって~! エルフに年増とか言うな~!」
「まあまあお二人共、あっ、ジローさん、ジローさんの分のエール注文しときましたよ」
「・・・ジロー、さくらんぼのぶらんでーづけたべていい」
みんな結構出来上がっているようだ。よーし、俺も飲もう。
「それじゃあ受付のおねえさん、俺はこれで」
「ジローさん、何時でもいいので女神教会に報告しに行って下さいね」
「はい、それでは」
受付のおねえさんと別れて俺はルビーさん達のいるテーブルへ行く、今日は宴会だ。楽しく飲もう。ルビーさん達は既に出来上がっているようだ、うまい酒にうまい飯、なんかいいな、こういうの。
こうして、冒険者ギルドの一日が終わる。体は疲れているのに、なぜだかこういう時は元気が出てくるんだよな。ほんと、不思議だ。
おじさん今日もおつかれ
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