あなたはもういない
重々しい玄関の扉を開けて
小さな声で「ただいま」とつぶやく
恐らく玄関のガチャンという音に気付いたのだろう
すぐに迎えに来てくれるあなたはもういない
私は誰かといる事が嫌いだ
なのにあなたは執拗に私の事を追いかける
だから私は相手をしない
それでもあなたは追いかける
まるで私が孤独なことを知っているよう
私は心のうちを見透かされるのが嫌いだ
私の汚いところを見られているみたいだから
だから私は一人になりたいのに
あなたは私を追いかける
だから私はあなたを嫌いになることにした
どんな顔されても私は知らない
それが屈託のない純粋な笑顔だと知ってしまっても
どんな声をかけられても私は知らない
それが私を勇気づけてくれる応援だと気づいてしまっても
だってそれを知ってしまうと
私はあなたを嫌いになれない
重々しい玄関の扉を開けて
少し声を張って「ただいま」と声を出す
いつもと同じ速度で締まる玄関の扉がガチャンと音を立てたとしても
すぐに迎えに来てくれるあなたはもういない
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