その先にある

砂場を飛んでいる

端から端まで足を付けることなく飛べたなら

僕は許されるかもしれないから

思いっきり助走をつけて脚を踏ん張る

気持ちは宇宙へと飛び立つロケットのように

身体は全身ゴム人間のように

宙へ浮くその感覚はまるで夜を追い越すみたい

しかし着地はひんやりした砂と砂

靴の中に入った砂を落とすと僕はまた立ち上がる

まだ距離が足りない

発射角の計算

推進力を上げて

父さんとやったゴルフゲームみたいに

学校でやった振り子の授業みたいに

テレビで見た陸上競技の選手みたいに

僕は砂場を飛んだ

そして僕は朝を迎えた

それでも僕は許されなかった

だから僕は

またスタート台の位置についた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る