かわいそうなカモの親子
@shunkotoku
第1話
大きな嘉瀬川から分れた多布施川という川があります。多布施川は、それはそれは水がとてもきれいな川です。そこにはいろんな魚や生き物がすんでいます。ヘビやライギョ、カラスや白サギもいます。それからカモもいます。
夏の日差しがまぶしくなってきたころのことです。
優しく流れる水の上をなかよく泳いでいる一つがいのカモがいます。緑色や青色の羽がつやつやしている方がオスです。もう一羽は、体が少し小さくて羽にはきれいな羽はありません。それがカモのメスです。
そんなある日、流れが緩(ゆる)やかになった川のほとりに二羽のカモをみかけます。よく見るとその後ろに小さくて動いているものが見えます。さらによく見るとそれは、四羽の子どものカモです。いつ生まれたのでしょうか。とても小さくてかわいいカモの子どもたちでした。お母さんガモが、ガア、ガアと鳴いています。
それは、子どもたちに、
「しっかりついて来るんだよ」
と、言っているようです。それに答えるように、子どものカモたちはも、かわいい声で、
「ピィーピィー」
と、鳴いています。親ガモは、ゆっくりと水面をすべるように泳いで行きます。子どものカモたちは、その速さに負けないようにと一生けん命泳いでついて行きます。右に左に、前に後ろに、ちょっとあわてた様子で泳いでいます。川のそばに住んでいる人たちや川沿いの道を行き来する人たちは、その様子をほほえましく思いながら、しばし見とれていました。
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