第19話【神回!!】ユミーコ、まさかの〇〇〇〇!?

 てててて。軽やかに駆けるユミーコの速度はなかなかのもので、降り注ぐ熱湯の雨と、火炎旋風のことはそんなに気にせずに走り続けることができる。

 

 悪役令嬢星人の特徴の一つとして、足が異様に速いというものがある。悪役令嬢たるもの、迫りくる殿方と処刑人に簡単に捕まってはならない。そんな教えによって培われた逃げ足の速さは、こういう形で発揮される事となった。


 しかし悪役令嬢ドレスを着ていると走りにくいったらありゃしない。


 悪役令嬢星人の中でも選ばれた者だけが着る事を許される悪役令嬢ドレスは、性格の悪さと腹黒さを誇示する漆黒の高価な服。ありとあらゆるフォーマルな場で活躍するスタイリッシュなデザインで、パーティーから面接、葬式までなんでも来い。


 要所要所に純白のふりふりフリルも施されており、悪さだけではなく、ちょっとした可愛らしさも演出されている。トドメは真っ赤なループタイだ。首元を彩る綺麗なブローチから揺れるスカーフっぽい感じで、見る方向によって様々な色、柄を映し出すという、飽きの来ない逸品である。

 なので今は真っ赤なドラム缶の柄だ。


「待て!待つんだユミーコ!待ってくれ!待てって!ねえ待って!待てっつってんでしょうが!待ちなさい!ウェイト!ストップ!待たんか!ちょ待てよ!!」


 古今東西「待て」と言われて素直に待つ者など居ない。後から追い駆けてくる紋付き袴マスクの必死の説得も虚しく、ユミーコは驀進する。


 そして、そんな二人の上から。

「ユミーコ!やはり俺の元に戻ってきたな……くくく。寿司の味が忘れられなかったと見える……この寿司中毒め!」

 

 間寺宇宙ステーじょうから、もったいぶりながらゆっくりとふわふわ降りてきたダース・マサムーネが嘲笑い、ついでに〇〇〇〇の内容を明かしておいた。


 スキヤキオン対宇宙艦隊。

 紋付き袴マスクvsダース・マサムーネ。


 同時進行の二大カードが今始まり、次回は交互に描写する事にしたので更に訳が判らなくなるだろう。

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