一番モテないヒロインに転生しましたが、なぜかモテてます

Teko

子どもの頃(入学前)編

プロローグ

昔から乙女ゲームが好きな私は、その日「childhood friends」という友人お薦めの乙女ゲームを買った。


登場するのは男の子4人、女の子4人の幼なじみ達。

魔法の世界が舞台のファンタジーゲームで、プレーヤーが4人の女の子の中から1人、ヒロインを選択する事で物語はスタートする。



説明書に書かれているストーリーはこんな感じだ。


親同士の仲が良く、小さい頃から一緒に遊んでいる8人の幼なじみ達。

10歳の時、みんなが集まるお茶会で親が口にした「将来、ここにいる幼なじみ同士で結婚してくれたら嬉しいわね!」という何気ない一言が発端となり、ヒロインの婚約者が決定する。

(その際、プレーヤーは幼なじみである4人の男の子の中から1人、婚約者を自由に選ぶ事ができるらしい)

選んだ婚約者とそのまま一緒になるもよし。成長と共に他の幼なじみが気になったのなら、そちらを選んで結ばれるもよし、という乙女ゲームらしい。


将来、どんな顔や性格になるか分からないから、子供の内に婚約者を決めるのってリスキーだなあと思ってたけど、他の人と結ばれる展開もあるなら問題なさそうだ。

婚約者が誰になったとしても、成長してから選び直せばいいや、と思いつつゲームを始める事にした。


まずは、重要なヒロイン選びから。


1人目は“マイヤ”。

4人の中で1番女の子らしく、可愛い。

お菓子作りや裁縫が得意な守ってあげたくなるタイプの女の子。


2人目は“セレス”。

スポーツ万能で頭も良く、何でも器用にこなす事ができる。

顔も整っており、まさにオールマイティな女の子。


3人目は“ルナ”。

キレイな顔立ちで、モデル並みにスタイルがいい。

クールだけど、 たまに見せる笑顔によっていつの間にか周りを虜にしてしまう女の子。


4人目は“アリア”。

顔立ちは悪くないけど、他の3人が飛び抜けている所為か平凡に見られがち。


ん!? 4人目のアリアだけ、説明これだけ??

他の子より優れているものとかないの??


アリアの設定に驚いていると、 不意にこのゲームを既にクリアしている友人が話していた事を思い出した。


マイヤ、セレス、ルナは、婚約者以外の人も好きになるくらいモテるし、90%以上の確率で自分が選んだ相手と結ばれる。

ところが、4人目のアリアだけは、90%以上の確率で自分の選んだ相手とは結ばれないらしい。

例え、婚約者を選んだとしても結ばれないというなんとも可哀想なキャラ。

「なんだ? その設定は!?」と思ったけど、簡単に結ばれてしまっては面白くない! というハードコース好きの一部のファン向けに用意されたキャラらしい。


そんな、ほぼ結ばれない4人目のヒロインを選ぶ人がいるなんて信じられない。私は普通にマイヤ、セレス、ルナの中から選ぼう。

誰をヒロインにするか迷いに迷った結果、私は3人目のヒロインである“ルナ”を選ぶ事にした。


早速ゲームを進めようと、画面上のカーソルを動かして決定ボタンを押す。

すると、なぜかコントローラーの操作を誤ってしまい、気づけば選択していたのは──


えっ!? このキャラって“アリア”だよね? 間違えたっ!!



……これが私の覚えている、この世界での最後の記憶。

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