140字の物語

河原葉菜陽

本の虫

真夜中にこっそり

僕の書斎へ入る

灯りを手に持ち右左

お気に入りの書物を数冊

胸の前に抱えて

ロッキングチェアに腰掛ける


紹介が遅れて申し訳ない

彼は吸血鬼と似ているが

吸うのは「ち」ではない


鳥の囀りで目を覚ます

彼はすやすや寝ている

今日も文字がなくなっている

また虫の仕業だろうか

彼は本の虫だからね

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