師走物語
紫陽花
第1話 クリスマスツリーの秘密
砂糖のような粉雪が降る12月の夜。
今年も商店街の真ん中に大きなクリスマスツリ-が飾られた。
そのツリーの前に彼女は立ち止まってふとつぶやく。
「このツリー、雨の日も風の日もここにあるのによくオーナメント落ちないなぁ」
するとオーナメントがかすかにキラッと光った。
「ま、そういうものなのかな」そう言うと彼女は商店街の人ごみに紛れて去った。
彼女は知らない。毎年冬になるとオーナメントたちはツリーから落ちないように
必死にしがみついていることを。
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