(5)

 東京の真ん中に、こんな場所が有ったのか……。

 会社の後輩に追い付いたのは……古風な神社の中だった。

「おい……どう言うつもりだ?」

「先輩こそ……何のつもりですか?」

「はぁ?」

「私……もう我慢するのやめます……。先輩は何か勘違いしてるみたいですけど……私、先輩の事を好きでも何でもないですから……」

「はぁっ? ふざけんな‼ なら、なんでいつも、あんな愛想笑いを浮かべてたんだよ‼」

「それは、先輩が……」

「ああ? 俺がどうした? 逆ギレか? 全部、お前が悪いんだろうがっ‼」

 何だ、この女?

 俺は、こんな我儘な女に惚れてたのか?

 困ったヤツだ。会社の先輩として、少し教育してやる必要が有るようだ。

「何をしてるんですかっ⁉」

 その時、背後うしろから知らない女の声がした。

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