048 ロキとロザリーの冒険1

「ただいまー!」


「ただいま、みんな揃ってるね」


「おかえり〜」


「おかえりなさい、マスター」


「うむ、無事に戻ってきたか」


 全員無事に拠点に戻ってきたようで何よりだった。しかし、まずは聞かなければいけないことがあった。


「洞窟外のあれは……どうしたの?」


 あれとは、洞窟の外に半分焦げて転がっている冒険者達である。全部で16名ほど倒れていた。


「此奴等は我をモンスターだと勘違いし襲ってきた愚か者共だ」


「それで返り討ちになったってわけか〜」


「マスター、この者達の★は回収済みです」


 話をしていると、洞窟の入り口から人が来る気配がした。見ると腕に黄色いハンカチを付けている。冒険者ギルドの者のようだ。


「ロキヘイムの方々ですね?洞窟の外に居る者達の脱落を確認しましたので、タートル号へ移送しますがよろしいですか?」


「あ、はい。どうぞ」


 冒険者ギルド職員は拠点を見回す。


「良い拠点ですね。今後の活躍に期待しています。では、これで失礼します」


 そう言って冒険者ギルド職員は拠点の入り口に転がっている冒険者を連れて去って行った。


「予想外の来客があったけど、★集めの報告をしよう。僕とシャルは合計で7個集めてきたよ」


「さすがはマスターですね」


「アルエ達はいくつ集まったの?」


「私達は〜★6個でした〜」


「1個しか違わないじゃないですか」


「我は襲ってきた冒険者を返り討ちにしただけだが、★4個が手に入ったようだ。守っていた★と合わせると6個だな」


「じゃあ、全部の合計は★19個だね」


「大手のクランはもっと見つけていそうだよね」


「そうかもしれないわねぇ。でも、人数だけでは★は手に入らないのも事実よ〜」


「じゃあ、明日も★集めをして明後日からは他のクランが集めた★を狙うようにしよっか」


「はーい!」


「了解です」


 翌日は僕とロザリーさん、アルエとシャルでチームを組んで★探しに出ることにした。


「ロザリーさん、今日は西に進もうと思うんだけどいいですか?」


「いいわよぉ〜」


 崖に沿って西に進むと、森が広がっていた。森に入り、慎重に進んでいく。


「あ、焚き火の跡がある。まだ温かいってことは、この近くにいるっぽいね」


「気をつけて進みましょう〜」


 それから、鳥獣用の罠や食べ残しの骨など、人の生活の痕跡が多数見つかった。


「かなりの人数が居そうだね」


「襲われたら私達だけでは対処出来ませんねぇ〜」


「この森は迂回しよう」


 森を迂回して進むと沼地に出た。沼地には大量の生物が潜んでいた。ワニ、蛇、大型のカエルや亀。沼地を少し歩くだけで襲ってくる。


「これはポイズンアリゲーターね〜。噛まれたら神経毒で死にますよ〜。トゲカエルのトゲは飛んできますから気をつけて〜」


「危険すぎる!しかも、そこかしこに居る!」


 それでも、森を迂回するには沼を通るしかない。沼の真ん中辺りまで来た時、コレを見つけてしまった。


「とぐろを巻いた大蛇って絶対に踏んじゃいけない魔法陣みたいだよね」


「真ん中に★が置いてありますね〜」


 謎の例えはロザリーさんにスルーされてしまった。


「倒すしかないか……」


「【プロテクション】!」


 ロザリーさんの補助魔法が僕にかかると、蛇のとぐろが解かれて顔が持ち上がった。それは女の上半身と長い蛇が合体した魔物だった。


「ラミアですわね〜でも、ロキ君には刺激が強いかしら〜」


 たしかに、ラミアと呼ばれた魔物は上半身裸だ。


「だ、大丈夫!蛇の部分だけを見て戦えば!」


 ニヤッと笑ったラミアは長い尾を振り回して攻撃してくる。


「【死盾デス・シールド】」


 こんなところで長く戦っていると、他の生物や冒険者を呼んでしまう可能性があるので出来るだけ早く倒すことにする。


 収納胃袋からゴブリンソードを取り出す。


「【死撃デス・バレット】!【死撃デス・バレット】!【死撃デス・バレット】!」


 ゴブリンソードでラミアの尾を地面に縫い付けた。ラミアは叫び声を上げ、こちらを睨みつけてきた。そして、口から紫色の毒霧を吹きかけてきた。


「【死地雷デス・ランドマイン】!」


 地面からの爆風で毒霧を分散させた。そして動けなくなったラミアに聖剣で斬りつけると何の抵抗もなく一刀両断することが出来た。


「ふぅー、上半身を見ないで戦うのはほぼ無理だったなぁ。でも、なんとか倒せて良かった」


「今の先頭でポイズンアリゲーターが集まってきているようですよ〜」


 慌てて★を回収する。


「★は回収できたよ!急いで沼地を抜けよう」


 僕とロザリーさんは沼地を抜けることに成功した。ただ、帰りも通ることを考えると少し憂鬱になった。

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