040 アンデッドダンジョン2
「イテテテ……みんなは無事!?」
周りを見回すとシャル、アルエ、ロザリーさんが倒れている。一応、生きているみたいだ。ランプとサラも無事だ。
「イタタ……ここは?」
「みんな絶対怪我してるだろ!?オイコラ!エリアヒール!」
目を覚ましたロザリーさんが回復してくれたおかげで痛みがなくなった。
「あ、ありがとう。ロザリーさん」
「どういたしまして〜」
最高の笑顔で答えるロザリーさん。さっきの口調は幻聴だったに違いない。
「自動修復完了しました」
アルエが立ち上がった。
地下1階の迷路から落ちた先は暗くて広い場所だった。天井も高い。暗くて四方の壁が見えないので広さもよく分からない。
「サラ、もっと明かりをお願い」
「良かろう」
明かりが強くなり、部屋の全貌が見えた。だけど、その時思った事は真逆の事だった。見えなきゃ良かったのに。
「あれ……まずい奴だよね?」
「うん、骨のドラゴンだね」
「あれはボーンドラゴンだな。我も初めて見る」
「あらぁ〜あれを浄化するのは大変かもしれないわねぇ〜」
「マスター、戦闘許可をください」
「アルエはどんな時でも変わらないね!?」
広大な空間の先に見えたのは、大きなボーンドラゴンだった。しかも、動いている。既にこちらに気づいているようで、顔をこちらに向けているのが分かる。更にボーンドラゴンの周囲にはスケルトンや骨のトカゲが数十匹居る。
「じゃあ、戦闘準備!作戦Cで行こう!」
作戦Cとは、ロキが主要な敵に突っ込み、サラが【
「プロテクション〜」
ロザリーさんの補助魔法で全員の防御力が上げる。
「準備はオッケー?じゃあ、開始!」
ロキがボーンドラゴンに向かって真っ直ぐ走る。サラは【
ボーンドラゴンの周囲にいるアンデッド達に接触したが、構わずに進み続ける。サラの【
ロキが相手をするのはボーンドラゴンのみである。ロキの後ろからついてくるアルエは雑魚アンデッドを蹴散らしながら進む。
ボーンドラゴンは大きく口を開けて声にならない咆哮を上げた。すると、ボーンドラゴンの骨の欠片がボロボロと落ちていく。その欠片から小さなボーンドラゴンが再生される。
「マスター、雑魚はワタシにお任せ下さい」
「分かった!アルエにお願いするよ!」
アルエがロキの前に出て殺到する子ボーンドラゴンを倒していく。アルエは両腕をトゲ付きの棍棒に変化させて振り回している。骨には鈍器が有効だね。
ロキは聖剣クレイヴ・ソリッシュを鞘から抜き、アルエが討ち漏らした子ボーンドラゴンをサクっと倒していく。聖剣はアンデッドに有効らしく、ほぼ一撃で倒せる。
後ろからシャルの風魔法が飛んできた。ボーンドラゴンはウィンドカッターを受けたがノーダメージだった。
ボーンドラゴンは大きな尾でアルエを薙ぎ払った。
「アルエ!」
アルエは大きく弧を描き後方に吹き飛ばされた。
「ロキ!もう一度来るぞ!」
サラの言葉でボーンドラゴンに向き直ると、グルリと一回転して更に尻尾による薙ぎ払いを行うところだった。
聖剣を地面に突き刺すとスキルを使用する。
「【
ボーンドラゴンの薙ぎ払いがロキに当たった瞬間、ボーンドラゴンの尻尾は弾かれバラバラになった。弾かれるだけじゃなくバラバラになったのは聖剣のオーラに触れたせいだろうか?
ロキはスキル【聖剣技】を持っていないので、使える技は聖剣が持つスキル1つだけだ。
「【
聖剣から巨大な閃光が放たれ、ボーンドラゴンはバラバラになった。
「残るは雑魚だけ!」
と言って周りを見ると、既に雑魚は一掃された後だった。みんな仕事が早いなぁ。とりあえず、ボーンドラゴンの骨と巨大な魔石は回収しておく。
「アルエ大丈夫だった?」
「マスター、ダメージはありません。ご心配をおかけして申し訳ありません」
「それなら良かった……」
「結局、今のはダンジョンボスだったのでしょうかぁ〜?」
「たしかに、ボスかもしれない。もしもボスだったら魔法陣が現れるはずなんだけど……」
「あ、あれ!」
シャルが指差す方向を見ると宝箱が置かれている。
「マスター、罠があるかもしれません。ワタシが開けます」
「アルエなら大丈夫なの?」
「はい、問題ありません」
「じゃあ、お願いするよ」
アルエが頷き、宝箱を開けると毒霧が発生した。しばらくすると毒霧も霧散した。
「宝箱には、これがありました」
アルエが宝箱から取り出した物は……腕輪だった。
「どんな効果があるか分からないけど、やったね!」
「師匠に鑑定をお願いすればいいよ」
宝箱の場所に魔法陣が現れた。どうやらボーンドラゴンはダンジョンボスだったようだ。
「ダンジョンボスだったみたいだね。帰還用の魔法陣が現れたよ」
「次の階への魔法陣という可能性もあるが……乗ってみれば分かるだろう」
サラがさらっと嫌なことを言う。
「乗ってみよう!」
みんなで乗ると、無事に外に転送された。
「良かった!外に転送されたよ!」
「シャルの踏んだ罠でボス部屋までショートカットされたんだね」
「でもぉ、怪我をするので次回から気をつけましょ〜」
「その通りだ。危なく我のランプが割れるところだった」
「これで師匠のミッションはクリア出来たんだし帰ろう」
全員一致で帰ることが決定した。さすがに帰り道はグレイフライアーズ墓地を通らないようにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます