番外編 告白大行列!⑤
あれからどれくらいの時間が経ったのか。太陽が高く昇り、雲ひとつない青い空は、いつのまにか赤く色付き、もう少しで夜の帳を下ろそうとしていた。
その間、私は訪れる人々全てにレオンの素晴らしさを語って聞かせた。思う存分レオンを語れる機会、私は楽しくて仕方がない。
唯一の心配は、人々が退出する度に、レオンが顔を赤くしてしばらくの間固まるという事。目の前で自分の事を褒められ慣れない気持ちは分かるけれど、これはレオンが国王として認められる為でもあるのだ、レオンには頑張ってもらいたい。……決して、レオンの萌えポイントを語れるのが単純に楽しいとか、レオンが羞恥に顔を赤くする様が可愛くて癖になっているとかではない……はず、多分。
「次の方で今日は最後だよ〜、レオ陛下、ツェツィーリエ様」
「ですが人々の列から換算するに、あと1週間はこの状況が続きますね」
「あのー、その、なんだ。頑張ってくれ、大将」
クローヴィアの発言に、疲れた顔に生気を宿すレオン。だが、その後に続いたリーフェルトの発言で、真顔になり目からハイライトを消した。そのあまりの表情に、たまらずルードルフがレオンに声をかける。
私は、というと。レオンを心配する気持ちがあるのは確か。でも……ごめんなさいレオン!あと1週間もこの状況が続くのが楽しみと思ってしまった私を許して!
「あのぅ、本日最後の方々をお呼びしてもよろしいでしょうか? 」
近衛騎士の1人が発した言葉に、私たちはハッとなり、表情を笑顔に変えてから、入室の許可を出す。先程まで、生気のなかった目をしていたレオンも、流石一国の王と言ったところか、人々を慈しむような、労わるような慈愛の笑顔を見せる。
……レオンのやけっぱちな笑顔に見えなくもないが、私はその感想にそっと蓋をした。
「お久シぶりでス、氷の王。はじめまシて、ツェツィーリエ様。ロロでス。ご婚約おめでとうございまス」
「タタでス、この度はおめでとうございまス」
「ネネでス、お祝いに来まシた」
空気が抜けるような独特のさ行の発音と、風になびく銀色の髪。扉を開けて入ってきたのは何故か【雪の一族】の3人だった。
(あの、レオン。ここに来てる人達って、私とレオンの婚約に反対しているのよね? )
(ああ、そのはずだが)
(どう見ても、私達を祝福しているような気がするのだけど? )
(……………)
レオンと目線だけで会話をする。レオンも困惑しているようだ、それもそうだろう。目の前に座る銀髪の3人は、先程まで部屋を訪れていた人々とは明らかに違い、キラキラとした目をしながら輝かんばかりの笑顔でこちらを見ているのだ。
しばらく沈黙した後、レオンにしては珍しく、若干口篭りながら言いにくそうに発言する。
「あー、その、だな。今回この場に来た者は、私とツェリの婚約に反対している者達なのだが、お前たちもそう……なのか? 」
レオンの言葉に、3人は緑、茶色、青のそれぞれ違う色の瞳が零れ落ちそうなほど、限界まで目を見開くと。
「「「え”」」」
3人揃って驚きの声を上げた。
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