第844話 交渉結果報告! 防衛戦の日取りが決定!




 練習は必要だが、ある程度使えるようになれば実戦で慣らそうぜ!

 レベル上げにもなるしな!


 じっくり練習するのもいいとは思うが、防衛戦が間近に迫ってきているのでせめてLV3くらいにはなってほしいのだ。〈上級転職ランクアップ〉しただけだとSUPは増えないのだから。


 その日は新しく〈上級転職ランクアップ〉した6人に指導をする意味でも俺も一緒についていくことにし、一緒に参加してくれることになったリカ、シズ、ニーコと共に〈宵闇の祭壇ダンジョン〉でレベル上げに勤しんだ。


 だがやはり通常モンスターではレベルが上がりにくいな。

 とりあえず、目指すは最下層である。ボス周回ができるようになればレベルは上がりやすくなるので頑張ろう。


 そんな感じで土、日、月と過ごし、火曜日。

 シエラから報告が上がってきた。


「防衛戦の日にちが決まったわ。金曜日ね。なんの問題も無かったわ」


「はい。みなさん凄くやる気が出ておりましたわよ」


「よくやってくれたぜ2人とも! しかし、よくあの条件を受け入れたな?」


 とうとう〈エデン〉の防衛戦の日取りが決まった。

 だが、良い人材がいたらその人だけ引き抜くよという言葉をオブラートに包んだセリフで返したにもかかわらず、それを何も問題無く受け入れられるとは思わなかった。

 本当にいいのか?


「むしろ逆よ。向こうにこちらがスカウトを考えているという意思が示せたから気合が入っているわね」


「マジか。改めて言うけど全員の受け入れは出来ないんだが」


「それも織り込み済みでの承諾みたいですわ。よほど自信があるのか、それとも盲目になっているのかはわかりませんが」


「そういえばゼフィルス、ギルドバトルの方針はどうするの? スカウトする人材を見極めるのなら、少し手加減も必要だと思うのだけど」


「うーむ。LVを見ると、まだ相手は50にも届いていないからな。だが、防衛戦では手は抜かない。そのために全員を上級職にしたんだ。俺たちはいつも通り最善をとり続ける予定だ」


 つまり俺たちの最善に付いてくる、食らいついてくるのが光る原石だ。

 俺たちはいつも通りにしていればいい。


 また、今日セレスタンとユミキ先輩調べの最新のデータが届いた。

 それを見る限り、彼ら彼女らは〈アークアルカディア〉の〈新学年〉メンバーよりもレベルが下だったようだ。当たり前だ。〈アークアルカディア〉はタバサ先輩の指導の下、現在急激にレベル上げしているところだからな。早ければダンジョン週間中にカンストする勢いだし。


 それはともかくだ。〈ディストピアサークル〉、全員がLV50以下だった。そしてこちらは全員上級職……。

 まあ、あれだ。獅子は兎を狩るのにも全力ってやつだな。


 考えてみれば〈新学年〉ってまだ発足してから1ヶ月と10日くらいしか経ってないんだった。これくらいのレベル帯は当たり前だったな。


 だが、このレベルではむしろ力が発揮しきれまい。

 昔言ったかもしれないが、〈三ツリ〉の獲得レベルは40となっているが、MPを気にせず使いこなすには60くらいのレベルがいる。そうじゃないと消費MPなどが釣り合わないからだ。

 すぐエネルギー切れを起こす。


 ボス戦1戦くらいなら問題は無いが、ギルドバトルとなると補給もタイミングが難しく、できない場合もあるだろう。特に最後の本拠地落としの際に早々エネルギー切れになれば目も当てられない。

 本拠地を落とすエネルギーをとっておきたくて力をセーブすれば、〈エデン防衛側〉の勝利だ。


 そのため、俺はギルドバトルに参加させるメンバーは、出来ればLV60前後からを推奨している。

 そうなると相手の戦法は絞られてくるな。


「アピールしたいのなら、対人戦は仕掛けてくるだろうな。MP切れを気にしたくないのなら早めに仕掛けてきたとしても不思議じゃない。当然仕掛けてきたら返り討ちだ」


「むしろ速攻で仕掛けて早々に退場してしまわないか心配だわ」


「それはさすがにないのではないでしょうか? ここまで作戦を練ってきた相手が考える事じゃないと思いますが」


「でもスカウト出来る人数は限られているわ。後半になって力尽き、記憶の海に沈められるよりか、前半で力のあるうちに奇抜な手を使ってでも印象に残ったほうが良いと勝手な行動をする人もいると思うわよ。何しろ、今回は〈ディストピアサークル〉メンバーは仲間がみんなライバルみたいなものだもの。出し抜くチャンスを窺っていても不思議じゃないわ」


「おいおい、そんな自分のギルドメンバーに迷惑を掛ける奴をスカウトするわけないだろうに」


「その現実が見えないほど、目の前にぶら下げられたエサが魅力的ということですわね」


 なるほど。シエラとリーナの言葉に納得する。

 しかし、その時はどうしようか。軽く捻ってやるか、更正の機会を与えるか。

 いや、全力で叩く一択だな。

 無闇で考え無し、ギルドに迷惑を掛ける人は全力で討って良いと思う。


「ギルドバトル形式は〈城取り〉〈15人戦〉〈12つ星〉フィールド、第四アリーナで制限時間は1時間を希望しているわ」


「〈12つ星〉フィールド? またマイナーなフィールドを選んだな。割と複雑だし対人戦が起こりやすい地形をしているはずなんだが」


 基本的にフィールドは防衛側が決めることが出来る。

 だが、〈エデン〉は別にどこだろうと問題は無いので相手に任せたのだ。

 防衛戦を仕掛けてくれた礼もある。


 しかし〈12つ星〉フィールドといえば〈テンプルセイバー〉と〈決闘戦〉をやったフィールドだ。

〈エデン〉には対戦経験がある。

 つまり〈ディストピアサークル〉は不利のはずだが?


「この試合は〈エデン〉に勝ってもらわなきゃ向こうも困るのよ。向こうの目的は〈エデン〉への加入なのだから、もし〈エデン〉を下しでもしたら交渉は決裂ね。それに〈エデン〉がBランクになる道も遠のくわ。上限人数も増えないからどの道スカウトされるのは不可能になるわね。そんな理由から、彼らは〈エデン〉が経験のある〈12つ星〉フィールドを敢えて指定してきたのよ」


「マジか……」


「とはいえ、〈エデン〉が負けることは万が一にも無いでしょうけど」


「まあ、そうだな」


 さすがに全員が高位職とはいえLV50未満の集団には負けない。


 とはいえ、防衛戦の目的は良くわかった。

 なら、金曜日に向けて俺たちは準備に勤しまないとな。

 ちょうど、そこへラナ、エステル、カルアが到着する。


「おはようゼフィルス、シエラ、リーナ、今日は早いわね!」


「おはようございます。お待たせしてしまいましたか?」


「おはよ」


「おはよう!」


「おはようラナ殿下、エステル、カルア。私たちが好きで早く来ただけだから心配いらないわ」


「おはようございますみなさん。こちらも話が終わったところでしたので良いタイミングでしたわよ」


 今日は上級ダンジョン、〈嵐ダン〉の攻略の続きをする日である。

 レベル上げと攻略は大事。今日は30層まで行きたいな!

 みんなと挨拶を交わし、俺たちは〈嵐ダン〉へ向けて出発した。




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