第805話 〈嵐ダン〉最初の守護型ボス戦!
――対〈嵐ダン〉用アイテム〈風除けの指輪〉。
――対〈霧ダン〉用アイテム〈霧払い玉〉。
これが救済アイテム。
〈ランク1〉と〈ランク2〉を楽に攻略できるようになる素敵アイテムだ。
本来の
とはいえ開発陣もこれを用意したということは対策
だから俺は躊躇い無くこれを使ってあげるのだ。
ちなみに〈風除けの指輪〉はアイテム。〈霧払い玉〉が消耗品だ。
〈霧払い玉〉はレシピなので何度でも作製できるがコストが掛かるのが玉に瑕。とはいえリアルになった今、多くの人に使ってもらえると考えれば消耗品でも作りたい放題なのはありがたいよな。
作製できるのは【錬金術師】系統や【アイテム職人】系統なので、これはハンナに大量生産してもらおうと思っている。
そのためには素材が必要だ。たくさんここの素材をゲットして帰るぜ。風で霧を吹き飛ばすのだ!
外に出ると、早速エステルが〈風除けの指輪〉を指に着けた。
エステルは一度ラナに譲ったのだが、ラナから「エステルが当てたのだからエステルが最初に使うべきよ! 私は後で使わせてもらうわね」という意見に従いこうなった形だ。順番、それは平和的解決法。
「では、使います。〈風除けの指輪〉!」
エステルが使用すると、エステルを中心として大きな半透明でドーム状のバリアみたいなものが張られたのが遠目に見えた。範囲は半径50メートルくらいか?
カルアが全力で駆け回ってもそれなりに余裕のある範囲だ。さすがにユニークを使うのは難しいが。
すると、タイミングよく突風の前兆となる『ビォ~』という音が聞こえはじめた。
「お、風が来るぞ、一応木々に掴まってくれ」
一応効力が無かった場合に備えて近くの木に全員で掴まるが、しかし。
「あ、風来ない」
「これは、不思議ですね。遠くの木は風に大きく揺れているのに、こちらはなんともありません」
斥候のカルア、そしてエステルが少し離れた木々を見つめてそう言った。
その通り、範囲外にある木々は風によってビュービュー吹かれて、今にも葉っぱが飛ばされて禿げそうになっているのに俺たちの周りはとても穏やかだった。
「これが〈風除けの指輪〉の効果ですか」
「これすごいわね!」
「ええ、とても有用だわ」
エステル、ラナ、シエラの関心が〈風除けの指輪〉へと向かう。
「これでもう〈嵐ダン〉の突風は怖くないな。この調子でボスに挑むぞ!」
「「おおー」」
俺のテンションについてきてくれるラナとカルアがいい。
シエラとエステルもやる気十分だ。
そのまま俺たちは採取をさらにしながら5層にある階層門まで進み、守護型のフィールドボスと相対する。
当然のように道中打ち合わせ済みなので準備万端だ。
まずはシエラが前に出る。
「相手は固いタンクタイプの〈フルモチモチモチッコ〉だ。防御無視の捕獲には気をつけろ! また、斬撃に大きな耐性がある。カルアは氷属性を使え。手数を増やしていくぞ! HPを削りきるんだ!」
「分かったわ」
「はい!」
「ヤー」
「攻撃重視ね! 任せといて!」
上級ダンジョン初の守護型ボスは〈フルモチモチモチッコ〉だ。
体長3メートルに迫る
あと非常に高い防御性能を持っている。
フラーミナのテイムモンスター、〈スパプルモチ〉のチーちゃんがさらに進化したボス型だ。
タンクタイプで防御力と魔防力が高く、斬撃に強い耐性まで備えているせいで下級職では倒すのにとんでもなく大変なボスだ。
これは、上級ダンジョンを攻略したければ強くなってこいという開発陣のメッセージだろう。つまりは上級職〈四ツリ〉の火力があれば問題ないボスでもある。
「行くわよ――『オーラポイント』! 『シールドフォース』!」
「―――(ぷよぷよ)!」
「ヘイトはどんどん取ってくれシエラ! 俺たちも行くぞ! ――『
「バフ、行くわよ! 『獅子の大加護』! 『迅速の大加護』! 『聖魔の大加護』! そしてこれでも食らいなさい! ――『大聖光の四宝剣』!」
「火力重視で攻めます! ――『
「行って来る――『フォースソニック』! 『
初手から滅多打ち。
俺なんて全力だ。『
というのも、このボスは本当に最初のボスなのでそこまで怖くはないからだな。
タンクタイプなので攻撃スキルが乏しく、俺の上級装備を持ってすれば即死は無い。
怖くなければガンガン攻撃だ。
一応『モチモチ拘束』や、怒って攻撃力が上がった時の『ジャンピング鏡餅プレス』を警戒しておけば問題ない。って思ったそばからあの挙動は!
「――(ぷるぷる)――!」
「と、跳んだわ!?」
「モチッコって跳ぶの!?」
「鏡餅プレスだ! 下にいるな! 離れろ離れろ!」
シエラとラナの驚愕の声が聞こえた。
そりゃあそうだろう。だってあの巨体のモチッコがいきなり10メートルくらい真上に跳び上がったのだから。
これに直撃すると大きなダメージを食らうので、最初から全員には跳んだら下がるよう言いつけておいた。
おかげで巻き込まれたメンバーは皆無。
「ビターンッ!」と痛そうな音と共に落下した〈フルモチモチモチッコ〉が徐々にペッタンコに広がった体を球体に戻して再び鏡餅形態になる。
だが、そんな隙だらけ、俺たちからすれば格好の攻撃チャンスだ。
「チャンス! 『シャインライトニング』! 『ライトニングバースト』!」
「はい! 『騎槍突撃』!」
「ん! 『フォースソニック』!」
「―――(ぷるぷる)――!!」
俺が魔法で攻撃。エステルとカルアが移動しながら攻撃するスキルで一気に接近してダメージを与え、そのままダメージを与えまくる。〈スキル〉も〈魔法〉も使いまくり。
今日も『クールタイム軽減』が絶好調だ。
いくら防御力が高くて斬撃によるダメージが少なかろうが属性は通るので手数で補えばいい。
ちなみにエステルの攻撃は〈斬撃・刺突〉に分類されるが〈刺突〉成分があるおかげでダメージ減少は俺たちより少ない形となっている。
カルアは完全に〈斬撃〉なのでその分は大きくダメージが減らされてしまっているが、〈氷属性〉の武器を使う事で属性ダメージを蓄積させる狙いだ。
俺は魔法を主体にして、接近戦をするときは『属性剣』で属性を付与して攻撃する。
「―――(ぷるぷる)!?」
よっていくら硬い〈フルモチモチモチッコ〉でも僅か10分もしないうちにそのHPがゼロになってしまい、膨大なエフェクトの海に沈んで消えたのだった。
「え? もう終わり、なの?」
ラナがこんなセリフを言ってしまうほどあっさりとしたボス撃破になってしまった。
ランク3のボス〈オニキヒツジ〉や〈ヤギキイノシシ〉の方がはるかに強かったからな、その気持ちも分かる。〈フルモチモチモチッコ〉はほとんど良いところなかったからな。
このランク1の初の守護型はこんなものだ。このボスは先ほど言ったように下級職と上級職を品定めというか、分けるためのボスだからな。所謂、上級のチュートリアルボスだ。
この〈フルモチモチモチッコ〉すら楽に倒せないパーティは先へ進むな。ということだな。
「転移陣が光ったわね。どうするのゼフィルス?」
6層への入口の横にある転移陣が俺たちに反応して光り始めた。
シエラが一度帰還するかを聞いてくるが、答えは決まっている。
「もちろん続行だ! まだ時間はたっぷりあるからな。目標の7層まで行くぞ!」
「分かったわ」
「まだまだ攻略したりないわよ! 行きましょ!」
異論は無いようなので予定通り門を潜って6層へと進む。時間を見ると、まだ午後の2時だ、順調そのもの。このペースなら10層まで行けそうである。
6層からはモンスターが変わってトカゲ型モンスターが多く出るようになる。
先ほどの〈モチッコ〉やニワトリ型モンスターとは違い、攻撃力も防御力も高く、すばしっこさまで持つモンスターだ。少し手ごわくなる。
ここからが上級職ゾーンというわけだな。本来〈嵐ダン〉というのはトカゲモンスターがメインなんだ。
とはいえ上層のモンスターなんて俺たちの敵ではないので蹴散らしてそのまま7層まで進み、その隠し部屋で目的の物をゲットする。
「よっしゃ! 〈上級錬金セット〉ゲットーー!!」
「…………」
ついにゲットです〈上級錬金セット3点〉。
その一つである〈上級錬金釜〉はギルドハウスに設置されている最高級錬金工房より
ハンナにいいお土産が出来たぜ!(2回目)
その際むっちゃシエラからジト目をいただいてしまった。今日はとても良い日だな!
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