第395話 試験対策と今後のスケジュールを練ろう!




「もうすぐで期末試験ね」


 ダンジョン週間という長期のダンジョン祭り、もとい長期休みが明け、朝のホームルーム前。最初の月曜日はシエラのそんな言葉から始まった。


「き、期末試験! 俺を試そうだなんて良い度胸してやがるぜ」


「ちょっとゼフィルス、なんで嬉しそうなのよ?」


 なんでって、俺の〈ダン活〉の愛の深さが試される場だからだ。

〈ダン活〉のデータベースと呼ばれた俺が期末試験ごときで躓くわけがない。

 むしろ俺が〈ダン活〉をどれだけ愛しているかを見せ付けられる場だと思っている。

 故に、ちょっと楽しみだったりするのだ。

 全問正解してやんよ! ふははは!


「まあいいわ。期末試験は2週間後だから、来週から期末試験中まではダンジョンに入ダンできなくなるわ。先生方からもお知らせがあると思うけれど、ギルドでも改めて期末試験期間中の活動を決めておいたほうがいいと思ったの」


「なるほどな。期末試験は赤点取ると補習で夏休みの一部が潰れるし、苦手そうな子がいたら勉強会をしてもいいな」


 シエラの言う通り、期末試験期間中の7月1日(月)~7月12日(金)までの12日間はダンジョンの入ダンができなくなる。

 7月1日(月)~7日(日)までが準備期間、8日(月)~12日(金)までが試験期間だ。


 ゲーム〈ダン活〉時代はテストの選択問題が何個か出され、それに答えて学園に提出、そして期末試験期間はスキップできた。

 のちにテストの順位が発表され、高い正解率を誇ると学生たちから羨望の目で見つめられ評価が上昇。ギルドの名声値が上がるといった仕様だった。

 ちなみに全問不正解だと名声値がマイナスされた上で夏休み期間に10日補習でダンジョンに潜れなくなるペナルティがある。(ゲームでは10日間スキップ)

 とはいえ、基本的にチュートリアルを聞いていたり、ストーリーを覚えていれば全問不正解にはならない仕様だ。


 ちなみに俺は全問正解しか取ったことがない。当然攻略サイトをカンニングしないで、である。

 ちょっとした自慢だな。ふははは!


「しかし、そうか。ダンジョンに約二週間も潜れないのか。辛たん」


「ギルドランク昇格試験もその期間は受付されないから、Dランクの試験は6月30日までよ。私たちはもう基準を満たしているからなるべく早く申し込んだ方がいいわね」


「おう。今週中には昇格したいな」


 ホームルームの前にシエラとこれからの予定を詰めていく。

 今日は6月24日(月)だ。週末の土日はボス周回でレベルカンストまで上げる予定。

 金曜日は臨時講師の仕事があるし、出来れば木曜日までにDランク昇格試験を受けたいが、あまり時間は無いな。


 Dランク昇格試験を受けるために必要なのは『ギルドマスターを含む10人の中級中位ダンジョン3つの攻略』。

 この条件はダンジョン週間で見事達成した。


 問題なのは平日に、昇格に必要な10人が集合できるかだな。予定が合えばいいのだが。まだ全員の予定が合わないのだ。現在調整中。

 授業の合間にも進めておこう。幸いにも、メンバーの10人は全員同じクラスだからな。

 喫緊ではそんなところか。


 あとマリー先輩のところで〈ダッシュブーツ〉の追加注文をしないとな。


 やるべき事を頭の中で計算していき、シエラと軽い打ち合わせを行なう。


「そういえばみんなの学力ってどんな感じなんだ? シエラは知ってる?」


 気になったのがギルドバトルやなんやらが終わった後の話だ。

 そういえば最初は期末試験の話だったよなと思い出して、次に気になったのがみんなの学力。


 期末試験で赤点をもらった者は慈悲もなく補習と言う名のプリズンへご招待される。

 監獄中はダンジョンが禁止されるという恐ろしい罰が待っているのだ。

 これは個人の問題だけではない、ギルドの問題でもある。

 パーティに欠員が出ただけでダンジョンに潜れなくなるのだ。連・帯・責・任。

 ダンジョンに潜りたければパーティ内の仲間で助け合いましょうという意図が含まれている気がする。


「そうね。このクラスにいるメンバーなら多少は分かるかしら。危なそうなのは……何人かいるわね」


「マジで?」


「1組は授業が一番難しいから」


 それは大変だ。なんとしても赤点を回避しなければ。

 俺からダンジョンを取り上げようなんてとんでもないことだ。


 試験期間が明ければ1週間を挟んですぐに夏休みに突入する。

 今後のスケジュールが掛かっている。悠長にはしていられないな。


 しかもリアルだと夏休みの帰省なるものがあってメンバーが何人か実家に帰るらしい。

 その辺も含めて改めて調査し、早めにスケジュールを組んでおかないと!

 俺のサマーダンジョンに支障をきたしてしまう!


「シエラがいるとマジ助かるぜ。完全に盲点だったわ。全力でサポートしよう、夏休みが掛かっている! あ、あと夏休みの予定のすり合わせもしないと」


「そう。役に立てたのなら良かったわ。あとでメンバーには夏休みの予定も聞いておくわね」


「じゃあ、俺はこれからのスケジュールも立てておこう。できたら参加不参加も募ってもらえるか?」


「いいけど。変な企画は起こさないでよ?」


「変とはなんだ。俺がいつ変な企画をしたというのだね?」


「…………そうね。信頼しているわ」


「おうよ。任せてくれ!」


 なんかシエラが言葉に詰まっていたように見えたが、きっと気のせいだろう。

 俺は気持ちよくうけたまわった。


 こうして期末試験を機に、ギルド〈エデン〉では夏休みまでのスケジュールを組むことになった。ついでに夏休みの計画も練ろう。

 さて、まずは何から始めるかなぁ~。




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