第273話 勇者流ブートキャンプ? 励めよ〈プラよん〉。
練習ギルドバトルも終わり、ラナたちも良い経験になったようだ。
特に対人戦に何か思うところがあったようでリカとカルアはあれから練習場にいきお互いを相手に組み手を行っていたらしい。
ラナとシズはそのまま帰宅したらしいが、チャットに「またやる時に参加させてよね」というツンデレ風味の文が送られてきた。
サターン君たちとの温度差よ。
あの後、「そんなバカなー!」と叫んでいたサターン君たち4人とミサトを練習場に送り出し、体が覚えているうちに改善点を練習させておいた。
ミサトは別に来る必要は無かったが「面白そうだし、私も付いて行かせて?」と言って付いてきた。
とりあえずサターン君たちにはあの強スキルばっかり使う行為を改めさせるところから始めよう。一応ギルドバトルの約束ではあるので、もし約束を破ったらミサトを引き抜くからと言って彼らをやる気にさせておく。
貴重なヒーラーのミサトを引き抜かれでもしたら〈
ギルドは5人を下回った時点で解散されるからな。
また、高位職で能力の高いヒーラーなんてミサトを逃せば二度と加入はしてもらえないだろう。〈
ちなみにその言葉も風評被害なので「約束を破るのか?」と問うてみると全員すごい勢いで首を振って黙った。
ちょっとスカッとしたのは内緒だ。
「お、おいミサト氏! まさか〈エデン〉に行く気ではないだろうな?」
「〈エデン〉ってやっぱり魅力的だよね~」
「! ふふ、ふふふふ…。おのれゼフィルス。学年トップの座にいるだけでは飽き足らず、僕たちのギルドも解散に追い込む気ですか! くっ」
「た、頼むミサトちゃん、行かないでくれ!?」
「君だけが俺様たちの誘いに乗ってくれた唯一の同級生なんだ!」
ミサトの満更でもなさそうな言葉に全員が愕然としていた。
あとヘルク君の最後の言葉が胸に深く刺さった。片手を口に当ててサッと顔を逸らす。
気を抜けば同情してしまいそうだ。危ない。
彼らがクラスの女子どころか他のクラスにも声を掛けに言っていたのは知っていたが、審査するまでも無く、加入希望者はミサトしかいなかった様子だ。
そしてそのミサトも他のギルドに引き抜かれそうになっているとなれば、慌てふためくのも当然だろう。俺ならショックで何か爆弾を
まあ端的に言って効果は抜群だったようだ。
彼らも高位職の一角、栄光の1組なのだからそれなりの実力を身につけて欲しい。
………そうだな。もうちょっとスパルタにしてみようか。
翌日金曜日。
今日は初めてとなる臨時講師の日である。
選択授業にて【勇者】ゼフィルスが6コマ使って
「
―――by〈ダン活〉をこよなく愛するプレイヤーより。
その格言通り、
1年生が
あのウサ耳のミサトもLV20に届いていないって言っていたからな。
〈戦闘課1年1組〉でもLV20に届いていない学生はそこそこいるんだ。まだ間に合う。
ちょっと急ぎで教えていこう。
この間、騒ぎは起すな的な釘を学園長からされたばかりなのだが、少しくらいなら良い筈だ。うん。
まあ育てるにはどっち道LV上げをしなければいけないわけで、それほどすぐ劇的に変わるというほどでもないので問題は無いだろう。
さて、どれくらいの応募があったかな?
学園に臨時講師の手続きをお願いして受理されたのが選択授業の期限ギリギリだったからな。
一応、俺の授業に移りたいという1年生は期限を延ばして受理してもらえる手はずになっているが、もうどの選択授業を受けるか決めてしまった学生は多いだろう。というか大半は決めてしまっていたはずだ。
もうちょっと早く思いつければよかったのだが、しょうがない。閃きとはいつもここぞと言うタイミングでしか起こらないのだ。(誰かが言っていた格言)
まあ、20人くらいは来て欲しいところ。そうじゃなくちゃ育成方法を広めるという俺の目的が達成できないからな。頼むぞ~。
「ゼフィルス様、準備が整いました」
「ありがとうセレスタン。しかし、本当に講師の補佐なんかしていていいのか? 俺に構わず授業を受けてきても良かったんだぞ?」
「いいえ。おそらくですが他のどんな授業よりゼフィルス様の授業の方がためになると思いますから」
いや、そんなことはないと思うぞ? 俺が知っているのは〈ダン活〉の知識だけだ。
この世界特有の技術的なものには疎い自覚がある。
特に授業シーンはゲームではほぼカットされていたからな。俺だって知らない事だらけなんだぞ?
「それにです。僕はゼフィルス様の従者ですから。ゼフィルス様が講師を行うのでしたらその補佐をしたく思います」
……ありがたいなぁ。
「そっか。ありがとうセレスタン。じゃ、行くか」
「はい」
用意してもらった教材を〈
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