第192話 今日はルルたちの番! まずは実力を見る。
〈からくり馬車〉改め〈サンダージャベリン号〉の調子は良く、一度通った道ということもあって簡単に〈静水の地下ダンジョン〉の最奥に到達した。運転してるのはエステルだけどな。
途中ルルとシェリアがとても楽しそうにしていたのが印象的だった。
モンスターが撥ねられるたびにキャーキャーする光景が微笑ましい。
幼女とエルフってなんか絵になるよな。カメラが切実に欲しい。
そんなこんなで〈アリゲータートカゲ〉戦に突入。俺とエステルは外で観賞。
昨日と一昨日はシエラがサポート役で、戦闘と連携をメインに練習したらしい。
【ロリータヒーロー】のルルはデバフアタッカー。タンクも出来るオールマイティ。
【精霊術師】のシェリアは魔法アタッカー。サポートも出来るダメージディーラー。
【バトラー】のセレスタンは自己バフアタッカー。少し避けタンクも出来る。
この3人もアタッカー寄りの構成だ。
敵の引き付け役であるタンクが出来るのはこの中だとルルとセレスタンだが、ルルのタンク方法はかなり特殊でデバフで敵の攻撃力や命中率を
【ロリータヒーロー】は攻撃されればされるほどMPが回復する仕様ということもあってこの戦法は非常に相性が良かった。
MPがやばくなってきたら、カス攻撃を受けまくってMP回復。そして特殊強化スキル『ヒーローは負けないんだもん』などを使って無双する。
優秀なヒーラーさえいればタンク要らずで無双し続けられる強力な
今回のボス戦の場合、ルルを軸にしてもいいしセレスタンに避けタンクを任せてもいい。
どんな作戦でボス戦をするのかと思ったが、誰かに任せるということは無く全員がアタッカーになって連携で勝つ作戦のようだ。
狙われたら回避や受けに徹し、他の人たちが攻撃する。タゲが変わったら以下略という方法だ。
うーん。この戦法は戦闘が安定しないので、最初の頃は良いがダンジョンの難易度が上がると加速度的に使えなくなっていく方法だ。
シエラがこれを教えたのか? 確かに連携面はかなり磨かれているようだ、基本的なことやヘイト、タゲなどもしっかり頭に入っている様子。しかし今後を考えればこの戦法はあまりよろしくない。
しかし、シズとパメラのコントのようなボス戦と比べれば安定している。あ、倒した。
ボス戦が終わったので、全員を一旦集合させてから聞いてみる。
「お疲れ様。これで初級下位ダンジョンは全て制覇だな。おめでとう」
「ありがとうございます」
「ありがとうです!」
「ところであの戦法はシエラが教えたのか?」
「そうですね。タンクがいない場合のセオリーとの事でした。何か問題がありましたでしょうか?」
まずは労い、賛辞を送るとシェリアとルルがハイタッチして喜んだ。なんだか尊い光景だ。
次に例の戦法について聞くと、やはりシエラが3人に教えたのだとセレスタンが教えてくれた。
「いや、戦法自体に問題はないんだが。今後ダンジョンが難しくなっていけば自然とタンクの需要は増える。ボス戦ならタンクは必要不可欠な存在だ。だからなんでタンクを入れない戦法なんて教えたのか不思議でな」
ボス戦にタンクは必須。タンク抜きだと普通に全滅する。これが鉄板だ。
タンクを入れないボス戦なんてありえない、というのが俺の持論、一部例外もあるが。
なぜルルを軸にした戦法を教えなかったのだと首を捻っていると、セレスタンが可愛らしい紙を取り出した。
「シエラ様からこちらをお預かりしております」
「メモ? いや手紙か? 受け取ろう」
それはいつもシエラがメモ帳に使っている紙のようだった。見覚えがある。
可愛らしい手紙を、セレスタン経由ではあるが受け取ってしまったことに若干緊張しながら読み進める。
「……ああ。なるほど」
一瞬青春ラブコメによく出てくるあの伝説のレターかと身構えたが、何のことは無い、ただのヘルプだった。
要は【ロリータヒーロー】の育成は分からない、【バトラー】もよく知らない。【精霊術師】は名前すら聞いたことが無かった、的なことが
そういえばこの世界の住民は高位職が非常に珍しいんだった。そりゃあ
ふむ。そういうことなら
「セレスタン、ルル、シェリア。今の
「LVは今の戦闘で15になりました」
「えー、セレスタンずるいです。ルルは上がってないですよー?」
「私もルルに同じです」
「セレスタンは高の中ランクの
「ボス、です?」
「もう一度ダンジョンに入りなおすのですか?」
おっと、そうだった彼女たちは〈公式裏技戦術ボス周回〉を見せたことが無かったな。
よろしい。まずはそちらからだ。
2人に〈エデン〉流育成方法をお教えしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます