ゲーム世界転生〈ダン活〉~戦闘訓練なんかしていられるか、俺はレベルを上げるぞ!~

ニシキギ・カエデ

第一章 〈ダン活〉ギルドを作るまで!

第1話 〈名も無き始まりの村〉-プロローグ-

「無理! 無理ですって教官! もうこれ以上走れませんって!」


「大丈夫だ。人間不可能なことは無い! そら外周がいしゅう100万周だー!」


「減ってない! さっき10周する前も100万周って言ってました! 回数減っていませんよ!」


「何安心しろ! しっかり教官が見ていてやるぞ! 終わったら次は剣の素振り100万回だー!」


「お願い教官! 話を、話を聞いてください!」







「もう嫌だあの教官…。脳みそが筋肉に侵食されすぎてやがる」


 戦闘訓練の授業を終え、教官のスパルタ授業にボヤキながらぎこちない足取りで舎に戻る。

 こんな戦闘訓練を続けていたら本番のダンジョンに行く前に身体が壊れてしまう。

 元現代っ子をなめないでいただこう。


「もうやらねぇ。明日からはこんな戦闘訓練とはおさらばだ」


 今日で戦闘訓練は最後。

 そう自分に言い聞かせると自然と身体が軽くなったような気がした。


 戦闘訓練を真面目に受けていたのはあくまでも義理を果たすため。

 それがクリアできた時点でブッチするのは決定していた。


 というよりもあんな訓練なんて真面目にやっていられるか!

 ステータスの上がらない訓練なんていくらやっても無駄でしかない。

 もっと簡単に強くなる方法があるのにあんなこと100万回なんてやっていられるか!


「戦闘訓練なんかしていられるか! 俺はレベルを上げるぞ!」


 今までの鬱憤が溢れ出し、帰宅途中の道の真ん中で右拳を上げ高らかにシャウトした。



 それと同時に、ここまで来るのに長かったなぁとここまでの経緯を思い出した。






 ――――――――――







「ここって、名も無き始まりの村じゃないか?」


 気がついたら見知らぬ場所、いやゲームの画面上で見たことのある場所にいた。

 そんなバカな、と思うも推定8000時間のプレイ時間やりこんだゲームだ、今更見間違うはずも無い。


 ゲーム名〈ダンジョン就活のススメ〉。

 名前が「もっと他になかったの?」と言われても仕方の無いアレなタイトルだが、内容はすさまじく濃いRPGロールプレイングゲームでやりこみ度が高く、廃人生産ゲームとも呼ばれていた神ゲーだ。


 俺もその流れに身を任せ灰色の戦士ゲーマーとなりやりこみにやりこみ続けている。


 いや、やりこみ続けていた、か。


「うっ、頭が!」


 それ・・を思い出しかけたとたん脳が拒否反応を起こした。

 しかし、そんなの関係ないとフラッシュバックする光景が脳裏に浮かぶ。



 それはゲーマーにとって最悪で悪夢で人生の最後のような出来事。

 災厄が俺に降りかかったのだ。


 最後に覚えているのは泡を吹いてひっくり返った、なんかヤバイ薬やってたんじゃねえかと思われる顔をした、鏡に映った俺の姿。


 おそらく、アレが俺の最期だったのだろう。

 それくらいヤバイ顔をしていた。


「あれ? じゃあ今の俺は?」


 なんで生きているの?

 ぺたぺたと身体を触ると、なんか違和感。


「身体、こんなに小さかったっけ? というかこの服ってゲーム衣装じゃ…」


 自分の身体のはずなのに自分じゃありえない引き締まった肉体。

 ゲーム序盤で見慣れた村人の衣装。

 顔に手を当てればさらに違いが…これは違いがよく分からなかった、鏡くれ。


 しかし、ここまでくればなんとなく察するに余りある。


「もしかして、もしかするのか?」




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